ライブ・イべント、トーク・セッションなどを複合的に行う、年に一度の映像とアートの国際フェスティバル「第12回恵比寿映像祭『時間を想像する』」が開催中!

ライブ・イべント、トーク・セッションなどを複合的に行う、年に一度の映像とアートの国際フェスティバル「第12回恵比寿映像祭『時間を想像する』」が開催中!

「恵比寿映像祭」は、年に一度、15日間にわたり、東京都写真美術館全館および地域会場で、展示、上映、ライブ・イべント、トーク・セッションなどを複合的に行う映像とアートの国際フェスティバルです。映像領域と芸術領域を横断するフェスティバルとして、2008年度(2009年2月)より開催され、今年度で12回目を迎えます。映画、アニメーション、実験映像、ドキュメンタリー、現代美術ほか、多様なジャンルの映像芸術表現が一堂に揃います。

恵比寿映像祭のロゴマークのカッコが象徴するのは、皆で映像について考えてみよう!という姿勢。第12回となる今回は、「時間とは何か」という映像が併せ持つ本質について迫ります。なお、「第12回恵比寿映像祭」は、オリンピック・パラリンピックの開催都市東京が展開する、2020年に向けた文化の祭典「Tokyo Tokyo FESTIVAL」の1つとして実施するものです。

総合テーマ「時間を想像する」は、以下のような視点で構成されています。まず、「時間を記録する」として、「過去の出来事や歴史をいかに再現し、語り伝えていくことができるのだろうか、また映像によって事実はどのように記録することができるのか」といったドキュメンタリーの新しい可能性を探ります。また「時間を表現する ポストヒューマン」として、「宇宙や自然、動物など人間以外の存在にとっての時間とは何か。映像はどのように、その経過や見え方、感じ方をあらわすことができるのだろうか」ということを考えます。最後に「イマジナリータイム(虚時間)SF」として、「時間は存在するのだろうか。SFが描く未来は、宇宙の謎を紐解けるのだろうか。量子力学の虚時間――宇宙の時間への問いが、現実につながっていく」ということに思いを巡らせます。

展示では、映画・ビデオ・写真などにより領域横断的に活躍するカナダの代表的アーティストのスタン・ダグラス、ドキュメンタリーとフィクションを横断し、独自の映像世界を築いてきたニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ、2019年ヴェネツィア・ビエンナーレ韓国館代表のナム・ファヨンほか、国内外のアーティストが多数参加しています。

スタン・ダグラス《ドッペルゲンガー》2019 © Stan Douglas  Courtesy the artist, Victoria Miro and David Zwirnerニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ《移動の自由》2017ナム・ファヨン《半島の舞姫》2019 Photo: GIM IKHYUN © Hwayeon Nam

映像から舞台まで国際的に幅広く活躍し、日本を代表するアーティストグループ「ダムタイプ」の活動でも知られる高谷史郎が恵比寿映像祭のために制作した新作委嘱作品を始め、三原聡一郎、多和田有希ら出品作家が新作を発表、ベルリンを拠点とし空間や時間、イメージと物質をテーマに作品を手掛ける木村友紀の日本初公開作品も展示され、いずれも必見です。
高谷史郎《Toposcan/Ireland 2013》2013[参考図版]三原聡一郎《自然の監視、自然の生成》2019[参考図版] Courtesy of Aomori Contemporary Art Centre, Aomori Public University Photo: YAMAMOTO Tadasu多和田有希《Family Ritual 2》2018 Photo: Fuyumi Murata木村友紀《MPEG-4 H.264 Reflecting in Sizes》2019 Courtesy of Jenny’s  Thanks to Taka Ishii Gallery

また、東北を拠点とし、近年活動が注目されるアート・デュオ、小森はるか+瀬尾夏美、世界各地の映画祭で高く評価される実験映像作家ベン・リヴァースが、展示と上映に出品しています。
小森はるか+瀬尾夏美《二重のまち/交代地のうたを編む》2019 Photo: Tomomi Moritaベン・リヴァース&アノーチャ・スウィーチャーゴーンポン《クラビ、2562》2019ベン・リヴァース《いま、ついに!》2019 Courtesy of Kate MacGarry

上映では、多数のプレミアム作品を含む多彩なプログラムを連日紹介します。その他、恵比寿地域に点在する文化施設やアート団体と連携し、恵比寿映像祭のテーマに合わせたそれぞれ独自の視点によるプログラムや参加型のプログラムを実施。鑑賞者と映像を楽しみ・まなび・かんがえ・めぐるプログラム「YEBIZO MEETS」の展開までを通じて、多様な映像表現に触れていきます。

「第12回恵比寿映像祭」ディレクターの田坂博子氏は今回について次のように述べています。

時間は、時計の針のように一方向に進んでいるように見えます。人間にとって当たり前に存在していると思われていながら、いざ「時間とは何か」と問われたら、こたえるのは容易ではありません。宇宙の起源や生命の働きなどと同様に、現代物理学の世界でも時間はいまだ大きな謎に包まれています。
 
一方、映像のなかでは、時間は逆行したり、現在と過去や未来がつながったり、人々が、そのなかを自由に行き来することもできます。さらにアートをはじめとする様々な映像表現では、すでに起こった過去の出来事や歴史による集団的記憶をどのように伝え記録し、あるいは予測不可能な未来をいかに語ることができるのかという問いのもと、さまざまな時間のとらえ方がなされています。例えば、超高速カメラは、肉眼ではみることができない瞬間をとらえ、SF(サイエンス・フィクション)映画は近未来の世界や、人間以外の時間を描いてきました。むしろ、私たちは、現存する時間ではなく、映像によって浮き彫りにされる不可視の時間の存在を確かめながら、自らがいる今をとらえようとしているのかもしれません。
 
「第12回恵比寿映像祭」では、「時間を想像する」をテーマに、多彩な作品やプログラムをご紹介していきます。誰にとっても身近であり同時に解き明かされていない時間にかかわる作品をとおして、新しい発見が生まれ、観客との対話や交流を導く機会を作りたいと思います。そして、アートや映像表現から時間を想像することで、動く写真(motion picture)である映像の本質に迫り、あらためて現在をみつめ考察していきます。

ぜひ、会場に足を運んで、年に一度の映像とアートの国際フェスティバル「第12回恵比寿映像祭『時間を想像する』」をお楽しみください。

恵比寿ガーデンプレイス センター広場のオフサイト展示では、花火の物語を360 度全方位から見上げることのできる映像プログラム《ハ ナビリウム》も屋外ドームに登場。《ハナビリウム》[参考図版] ©丸玉屋

 

■第12回恵比寿映像祭「時間を想像する」
会 期:2020年2月7日(金)〜2月23日(日・祝)
会 場:東京都写真美術館/日仏会館/ザ・ガーデンルーム/恵比寿ガーデンプレイス センター広場/地域連携各所 ほか
時 間:10:00〜20:00
*最終日は18:00まで
休 館:月曜日
料 金:入場無料
*定員制のプログラムは有料

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