横浜から世界へ発信! 今最も刺激溢れる現代アート展「ヨコハマトリエンナーレ2020」

ヨコハマトリエンナーレ2020

横浜トリエンナーレは、3年に一度開催される現代アートの国際展です。2001年の初開催からまもなく20年目となり、自らの立ち位置を再確認する時期を迎えています。ヨコハマトリエンナーレ2020では、テーマを「AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」とし、目まぐるしく変化する世界の中で、大切な光を自ら発見してつかみ取る力と、他者を排除することなく、共生のための道を探るすべについて、みなさんと一緒に考えます。

ヨコハマトリエンナーレ2020メインビジュアル


今回アーティスティック・ディレクターを務めるのは、長年にわたって世界で活躍するインドの3人組アーティスト集団「ラクス・メディア・コレクティヴ」(以下、ラクス)。

ラクス・メディア・コレクティヴ
ラクスは、現代美術をめぐる言説に新たな視野を付与する活動で知られます。彼らは世の中のあらゆる人々とかかわるためには、「美術」の定義を拡張する必要があると考え、現代美術の定式化した思考方法を解体し、再構築するようなキュレーションを行ってきました。その根底には、美術などの表現にかかわる知見や知識は一部の人が占有するものではなく、オープンソースとして広く共有されるべきものであるという信念があります。

「AFTERGLOW」というタイトルをめぐって、ラクスは次のように述べています。

名前には、たくさんの意味が込められています。何といっても、名前は物語の始まりを思い起こさせます。わかっていることといないことをたちまち浮き彫りにし、親近感を引き出し、愛情を招く合図となります。また、時間を超えていくものでなくてはなりません。〈中略〉このトリエンナーレはテーマをつけることを前提としない取り組みを進めており、またアー ティストや一般の人々を巻き込んで、予測のつかない発見、驚き、洞察を前提とした出合いを生み出そうと試みています。そうしたこともあって、私たちラクスが求める名前は、何かを確定する力は弱くとも、泡のごとく生まれては消えるような生き生きとした興奮に満ちた名前を求めていたのです⸺楽しさ、魅力、冒険、謎に満ちた名前を。〈中略〉
「AFTERGLOW」というタイトルのもとで行われるトリエンナーレは皆さんを、深い探求と予兆が示すゆらめく輝きの中へとお誘いします。そこでは、まだ起こっていないことやこれから起こることを期待したり予測したりすることと、じっくり考えぬくことや主張を押し通そうとすることとが混ざり合います。皆さんには、抑制を忘れ、見知らぬものとの出合いから生まれる鮮烈な喜びを見つけていただければと思います。〈中略〉
「AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」は、21世紀にアートを作り続けることの意味に光を当てます。

本展には、横浜美術館やプロット48、日本郵船歴史博物館を舞台に、計65組67名のアーティストが参加します。例えば、投げつけたチョークボールの粉の跡を残した壁と投光器で構成されるインスタレーションを発表するハイグ・アイヴァジアン氏や、鮮やかな色彩と豊かな装飾性を特徴とし、人種、ジェンダー、社会階級に基づく差別への問いを投げかける作品で知られるニック・ケイヴ氏、鉱物が化学反応を起こす過程や、その結果生まれる現象を、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンスなどによって視覚イメージとして提示するイシャム・ベラダ氏といった、日本で初めて作品を発表するアーティストはもちろん、本展のために新たに制作される作品やプロジェクトを多数発表。
 

ニック・ケイヴ 《回転する森》2016 ©Nick Cave, Courtesy of the artist and Jack Shainman Gallery Photo by James Prinz

 

イシャム・ベラダ 《Présage(予兆)》(スティル) 2007- © Hicham Berrada, © ADAGP Hicham Berrada, Courtesy the artist and kamel mennour, Paris/London Photo by Hicham Berrada


また、非欧米圏の若手作家の作品を多数取り入れており、プレイベントには「生きていることを確認するための行為」として、自らの裸体に絵の具を纏う姿を、写真やパフォーマンスで発表している新宅加奈子氏らが登場。本展ではコラージュやアッサンブラージュの手法をベースに、モノとイメージの関係性を顕在化させる作品を発表している金氏徹平氏、個人の生活や経験、記憶をインタビューや記録物などを通してたどり、歴史や社会といった大きな文脈との関係性を見つめるインスタレーションを発表している飯山由貴氏などの作品に加え、現実の風景や人物の丹念なトレースで現実と虚構が入り混じる独特の映像世界を構築し、昨年惜しくも急逝した佐藤雅晴氏の遺作となった作品群も展示されます。

ヨコハマトリエンナーレ2020 プレイベント「エピソード00 ソースの共有」 新宅加奈子 パフォーマンス「I’m still alive」 撮影:加藤甫 写真提供:横浜トリエンナーレ組織委員会

 

佐藤雅晴 《ガイコツ》2018 © Estate of Masaharu Sato, Courtesy of KEN NAKAHASHI


今、最も刺激に満ちた現代アートを体感しに、ぜひ「ヨコハマトリエンナーレ2020」に足を運んでみては?


■ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」
Yokohama Triennale 2020 “AFTERGLOW”

会 期:2020年7月3日(金)~10月11日(日)
2020年7月17日(金)~10月11日(日)(更新:2020年6月3日)
*毎週木曜日休場(7月23日、8月13日、10月8日を除く)
会 場:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
プロット48(横浜市西区みなとみらい4-3-1)
日本郵船歴史博物館(横浜市中区海岸通3-9)
時 間: 10:00~18:00
*入館は閉館の30分前まで
*会期中の金曜・土曜と会期最終日の10月11日(日)は20:00まで開場
*10月2日(金)、10月3日(土)、10月8日(木)、10月9日(金)、10月10日(土)は21:00まで開場

会場地図

このページに関するタグ
関連する記事

あなたのデスクトップにアートのインスピレーションを

ARTS WALLは、常にアートからの知的な刺激を受けたい方や、最新のアートに接したい方に、ARTLOGUEのコラムや、美術館やギャラリーで今まさに開催中の展覧会から厳選したアート作品を毎日、壁紙として届けます。 壁紙は、アプリ経由で自動で更新。