ロバート・フランク: ブックス アンド フィルムス, 1947-2017 神戸 報告 Part1

松宮 宏

松宮 宏

Robert Frank : Books and Films, 1947-2017 in Kobe ロバート・フランク:ブックス アンド フィルムス, 1947-2017 神戸
Robert Frank ,Funeral-St Helena,South Carolina, from the book .The Americans(1959) ロバート・フランク(葬式-サウスカロライナ州セント・ヘレナ) 「The Americans」(1959年)より ©Robert Frank

 

束の間の美しさを切り取る。ストリートフォトの原点。

Robert Frank : Books and Films, 1947-2017 in Kobe ロバート・フランク: ブックス アンド フィルムス, 1947-2017 神戸

 

新聞用紙に印刷されたモノクロームの世界。
ロバート・フランクの写真世界は、人が触れ合うことで生まれる体温に満ちています。

 

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Robert Frank ,Welish Miners(1953) from the book .London/Wales(2007) ロバート・フランク「ウエールズの炭鉱夫たち」(1953年) 「Lpndon?wales」」(2007年)より ©Robert Frank
Robert Frank ,Welish Miners(1953)
from the book .London/Wales(2007)
ロバート・フランク「ウエールズの炭鉱夫たち」(1953年)
「Lpndon?wales」」(2007年)より
©Robert Frank

 

会場のデザイン・クリエイティブセンター神戸の大空間に並ぶ写真。これはひとりの写真家の眼で撮った写真たちなのか? 感心してしまいます。ドキュメンタリー、ポートレート、ファッション。
しかし、もちろんどれも「誰かのようなスタイル」ではありません。これこそロバート・フランクです。世の写真家たちの尊敬を集める巨匠なのです。
撮影時期は1947〜。撮影場所はニューヨークやパリ、アメリカ各地、南米、大都会、大自然、個人の家。
被写体はさまざまな人種。泥まみれの労働者、シルクハットのセレブリティ。時には窓を開け放した路面列車の窓脇に、世代や人種を超えた人たちが写っています。
写真家の見つけた一瞬。ストリートフォトグラフィーの神髄です。

 

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静寂と躍動の間の戯れ、映画的な時間の流れ、親密さと孤独のおもしろい組み合わせ方、啓示と暗示、明瞭さと曖昧さがそこにはある。1950年代のアメリカのある特別な瞬間を記録した写真でありながらも、今日の、そしてこれからのアメリカをかたちづくる共通性と差違というテーマを示している

アメリカ全土を旅行し、ただ写真を撮り続け、見続けた。体験を記録するでも表すでも示すでもなく、体験を触媒として変化を引き起こす。ただそれだけなのだ。

The Americans

 

神戸の学生たちが「習字」したスローガン。
神戸の学生たちが「習字」したスローガン。

 

ロバート・フランクが生きた時代は「ビート・ジェネレーション」とも呼ばれています。「ニューヨークのアンダーグラウンド社会で生きる非遵法者の若者たち」を総称する言葉で、この言葉を思いついたのはジャック・ケルアックだと言われています。
ロバート・フランクはローリング・ストーンズのアルバム「メイン・ストリートのならず者」のジャケット写真を依頼され「ビート・フリークス」たちを全面にコラージュしました。反社会性を標榜しながらも、そこには動き続ける時代の中にある、詩的で、アクティブで、ヒューマニズムに満ちた、哲学的でさえある人たちが息づいています。

 

「メイン・ストリートのならず者」(Exile on Main St.) 1972年 ローリング・ ストーンズ
「メイン・ストリートのならず者」(Exile on Main St.)
1972年 ローリング・ ストーンズ

 

現代の写真家へつながる系譜も感じます。サンローランのクリエイティブディレクターを辞めて写真家になったエディ・スリマンが憧れるストリートドキュメンタリースタイル、あるいはビートジェネレーションの精神は、ロバート・フランクへ行き着くのではないでしょうか?

 

Courtney Love for Saint Laurent Music Project Photography Hedi Slimane
Courtney Love for Saint Laurent Music Project Photography Hedi Slimane

 

ELLEで活躍したジル・ベンシモンのファッション・ポートレートにもストリートドキュメンタリーのタッチが見えます。

 

Elle (US) August 2000 ©Photo Gilles Bensimon
Elle (US) August 2000 ©Photo Gilles Bensimon

 

 

ところが、ロバート・フランクは商業的な写真には怒りさえ覚えると、インタビュー「人生とアート」で答えています。「アニー・リーボビッツやリチャード・アヴェドンのような写真家は好きじゃない」。
商業主義を根っから否定した写真家が、多くの商業写真家の手本となっているのですね。
(「人生とアート」は神戸新聞社の協力を得て「新聞紙」に印刷した展覧会カタログに掲載されています。会場で手に入ります)

たった一枚のポートレートに、多くを語る迫力。
ロバート・フランクの写真にはあふれるような感情が詰まっています。

さて、そんな気分をJazzに乗せるライブが開催されます。
演奏する広瀬未来(トランペット)、高橋知道(サックス)が選ぶのは、どの時代の、どのJAZZか? なぜ選曲したのか? どんなアレンジで、どんな心で演奏したのか?
展覧会プロデューサーである林寿美さんのお話とともに、レポートを書きます。
それはPart2にて

 

プロデューサーの林寿美さん
プロデューサーの林寿美さん

 

「Robert Frank:Books and Films, 1947-2017」は神戸開港150年記念「港都KOBE芸術祭」の連携事業として開催中です。
「Robert Frank:Books and Films, 1947-2017」は神戸開港150年記念「港都KOBE芸術祭」の連携事業として開催中です。

 

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Robert Frank : Books and Films, 1947-2017 in Kobe
ロバート・フランク:ブックス アンド フィルムス, 1947-2017 神戸

会  場:KIITOホール ギャラリーA
会  期:2017年9月2日(土)~9月22日(金)
開館時間:10:00~18:00
観 覧 料:無料
U R L:https://robertfrank2017kobe.tumblr.com/

革新的な撮影術と独自の視点でストリート・フォトグラフィーを創始し、現代写真に最も大きな影響を与えたスイス出身の写真家ロバート・フランク。初期のポートフォリオの写真から、代表作『The Americans』、《Pull My Daisy》をはじめとする映画作品、最新作となる〈ヴィジュアル・ダイアリー(目で見る日記)〉シリーズまで、フランクの創作活動の全てをご紹介します。

ロバート・フランク|Robert Frank
1924年、スイス、チューリヒ生まれ。伝統的な写真術と異なり、直観にもとづいて被写体を連続してとらえる独自の手法で、写真というメディアの新たな表現方法を切り拓いた。その作品群は、同世代以降の写真家に多大な影響を与え続けている。ニューヨークとカナダ、ノバスコシア州マブー在住。


◎ Live Jazz with Robert Frank
ストリートでの演奏を聴くように、ロバート・フランクの作品に囲まれてジャズを楽しんでみませんか。
・9月10日[日]15時–16時
演奏=広瀬未来(Trumpet)、 金子友宜(Guitar)、萬 恭隆(Bass)
・9月16日[土]15時–16時
演奏=高橋知道(Tenor Sax)、金子友宜(Guitar)、坂崎拓也(Bass)
その他、ギャラリー・トークやクロージング・イベントを予定しています。詳しくは公式サイトをご覧ください。
https://robertfrank2017kobe.tumblr.com

◎ Steidl Book Fair
ロバート・フランクの写真集をはじめ、シュタイデル社が発行する書籍の数々を展示・販売いたします。
9月2日[土]–22日[金]、
場所:SALON(元町・旧居留地 商船三井ビル内)
詳しくはサイトをご覧ください。
http://www.salon-and-associates.com

◎ 映画「Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代」
ロバート・フランクがその知られざる人生について初めて語るドキュメンタリー映画が上映されます。
9月16日[土]–10月1日[日]、場所:元町映画館
詳しくはサイトをご覧ください。
http://www.motoei.com

松宮 宏

小説家、大阪芸術大学短期大学部客員教授、ファッション&クリエイティブビジネスコンサルタント(株)パプリカ代表、著作「秘剣こいわらい」「燻り亦蔵」「さくらんぼ同盟」(講談社)、「はるよこい」(PHP)、「まぼろしのパン屋」「さすらいのマイナンバー」(徳間書店)。海外の冒険小説と藤沢周平の人情話が大好き。市井の人情、剣戟の響き、謀略、大逆転、と日夜頭を巡らせながらモダンデザインも考える日常。