美術館の閉館について:アートをおしきせ 20180514

ARTLOGUE 編集部

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朝日新聞で、東京の私設美術館「アミューズミュージアム」が今年度末で閉館するとの記事を読みました。

2009年に開館したこの美術館は、大手芸能事務所として知られる「アミューズ」と縁が深く、その名を冠しています。展示の中心は、青森県の歴史民俗研究家、田中忠三郎さんが収集した衣類や民具等が占め、身近で欠かせないものながら、日常に埋もれて消耗していく布にスポットライトをあて、そこから垣間見える営み、紡がれてきた文化を紹介してきました。収蔵品の中には伝統的な刺し子が施された貴重な衣類、また黒沢明監督の映画『夢』(1990年)に使用されたものもあるそうです。閉館の理由は、建物の老朽化。記事には「移転や国内外での巡回展などの形を検討しているという」とあり、継続して展示する道を模索することが綴られていました。

美術館の閉館。閉館だけでなく、主には財政難を理由に、規模縮小のニュースを聞くとやはり残念でなりません。
その地域の文化的な環境を揺るがすことでもあるし、収蔵されている美術品がどうなってしまうのかが気になります。

最近では、2014年9月3日に閉館した清里現代美術館が「住宅棟(木造2階建5LDK)と元美術館棟(木造2階建118坪)の2棟の建物と現代美術作品の庭園」としてsuumoで売りにだされているのを目にした時、暗澹たる気持ちになりました。清里現代美術館は私設ながら、マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp, 1887~1968)やヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys, 1921~1986)等の作品が所蔵されており、1960年代を代表する前衛的な芸術運動「フルクサス(Fluxus)」の常設展示がみられる貴重な内容の美術館でした。現在suumoのサイトで情報が確認出来ない状態になっているので、その後どうなってしまったのかは分かりません。

一方、閉館が取り沙汰されながらも閉館されなかった、あるいはリニューアルされた美術館もあります。

例えば、2016年3月に閉館した「神奈川県立近代美術館 鎌倉館」は2019年春に「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」としてリニューアルオープンするとのこと。
日本初の公立美術館として1951年に開館し、長年地域の住民に愛された美術館に対しては存続の声が多く上がっていたといいます。

美術館が失われる時、多くの人はそれを惜しみ、反対すると思います。でもその声がアクションに結びつかないままとなることも往々にしてみられます。
今後も様々な事情で閉館する美術館が出てくることが予想される中、それらに対してどう対処するべきか、単純な答えを出すことは難しいです。ただ、今の時代なら記憶に残すだけでなくVRなどを使った追体験が可能です。少なくとも出来る限りリッチなメディアで建物、空間を含めたアーカイブはして欲しいと願います。


※本文であまりご紹介出来ませんでしたが、田中忠三郎氏の活動についてはこちらからもご覧いただけます。