ちびまる子ちゃんの蓋も登場! 路上の芸術・デザインマンホール蓋の楽しみ方

森本 庄治

森本 庄治

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アートは日本中の路上にも転がっている。手軽に楽しめる身近なアートとして、近年新たな盛り上がりをみせるデザインマンホール蓋の世界。その魅力と楽しみ方をご紹介していきます。

 

デザインマンホール蓋の歴史

 

「マンホール蓋のデザインを頭の中で浮かべてみて下さい!」と私が訪ねると、いろんな答えが返ってきます。
それもそのはず、日本のマンホール蓋には、まるで八百万の神のように、多種多様な様々なものがあるのです。
JIS型マンホール蓋とよばれる汎用的なものから、その地域にしか無い地域性に富んだ蓋など多様なデザインの蓋が「路上の芸術」として、日本の隅々まで設置されています。
はっきりとはわかっていませんが、おそらく数千~1万ぐらい種類はあるのではないかと推測しています。

こんなにも様々なデザインが楽しめるのも、マンホール蓋を各自治体が管理をしていることが大きな要因になっています。(消防関係の蓋、通信系の蓋、警察関係の蓋は今回はふれません。)
つまり、基本的には自治体の数だけマンホール蓋が存在するということなんです。
昭和50年台に市民に下水道事業に親しみをもってもらう為、デザイン性の高い蓋の採用が自治体ではじまり、全国に広がっていきます。
昭和61年に開催された「下水道マンホール蓋デザイン審査会」では、約1,000の自治体からの応募があり、徐々に町歩き趣味の一つの人気アイテムになっていきます。
そして、インターネットの普及が進み、SNSが当たり前になってきた今、新たなマンホール蓋愛好家(以下マンホーラー)も増えています。

ちなみに、「路上の芸術」という言葉は、2005年に垣下嘉徳氏が『路上の芸術―マンホールの考察、およびその蓋の鑑賞』という著書の中で、デザインマンホール蓋の魅力を一言で説明するのに使っていらっしゃいます。
そんな「路上の芸術」について、ご紹介していきます。

 

魅力的なデザインマンホール蓋達

 

東京都小平市(こだいらし)の蓋(2009年4月撮影)
東京都小平市(こだいらし)の蓋(2009年4月撮影)

マンホール蓋には、水にまつわる物が多い。都市システムの中で、水を綺麗に再生したいという願いが込められています。

 

山形県鶴岡市の蓋(2013年5月撮影)
山形県鶴岡市の蓋(2013年5月撮影)

鶴岡市の象徴である鶴と大宝館と桜をデザイン。大宝館は大正初期の擬洋風建築。このような、地元の誇りが描かれているのがデザインマンホール蓋の魅力。

 

岩手県釜石市の蓋(2012年4月撮影)
岩手県釜石市の蓋(2012年4月撮影)

地元の郷土芸能である「虎舞(とらまい)」をモチーフに迫力のあるデザイン。祭りや郷土芸能に関する蓋も多い。

 

広島市の蓋(2009年9月撮影)
広島市の蓋(2009年9月撮影)

千羽鶴で平和の願いを、6本の束で広島の治水の祈りをデザインした蓋。
広島市立大学芸術学部と広島市、マンホール蓋メーカーとのコラボレーションで生まれた蓋

 

新潟県小千谷市(おぢやし)の蓋(2012年12月撮影)
新潟県小千谷市(おぢやし)の蓋(2012年12月撮影)

小千谷市は生きる芸術品の錦鯉をモチーフに、市内を流れる信濃川を配置。基本的には小千谷市内に設置されているのですが、この蓋は1989年に名古屋でおこなわれた「世界デザイン博覧会」で展示された蓋のうちの一枚で、この蓋を含む展示された蓋は、名古屋市下水道科学館で屋外展示されています。

 

長野県小布施町(おぶせまち)の蓋(2010年5月撮影)
長野県小布施町(おぶせまち)の蓋(2010年5月撮影)

 

ちびまる子ちゃんのマンホール蓋

 

そして、9月上旬には惜しまれつつ若くして亡くなった国民的漫画家。さくらももこさんが郷土静岡、清水に寄贈したちびまる子ちゃんの蓋が設置されました。

静岡市の蓋(2018年9月9日撮影)
静岡市の蓋(2018年9月9日撮影)

静岡鉄道新静岡駅すぐ、新静岡セノバの前の商店街にある蓋。普段着のまる子ちゃんが描かれています。

 

静岡市の蓋(2018年9月9日撮影)
静岡市の蓋(2018年9月9日撮影)

清水駅西口出口バスのり場三番近くの蓋。おめかししたまる子ちゃんになっています。

 

まる子ちゃんの微笑みとともに、静岡の雄大な自然が描かれた蓋には多くの人が惹きつけられます。
撮影当日も、子供を連れた若い夫婦はもちろん、学生、社会人、老人、カップルやグループまで様々な方がひっきりなしに思い思いの構図でまる子ちゃんの蓋を撮影している風景は、さくらももこさんの作品のような平和な空間でした。
長年マンホール蓋を趣味にしていますが、とても感慨深い光景でした。

このように、日本全国には、個性豊かなマンホール蓋が「路上の芸術」として町を彩っているわけです。

 

マンホール蓋鑑賞の楽しみ方

 

自由に楽しんでいたくのが一番ですが、参考までに撮影を中心とした私の楽しみ方をご紹介します。

撮影までの計画

◯メインターゲットの決定
インターネット上に、様々な方が情報をあげていますので、撮影したい蓋の情報を収集しましょう。マンホールマップという、無料の投稿型の位置情報共有サービスも企画していますので、ぜひ参考にして下さい。

◯マンホールカードなどの参考情報の確認
業界団体が主導で、各自治体が発行するマンホールカードというものもあります。こちらは現在364自治体の参加で、418種類の種類が発行されている無料のカードです。各自治体の自慢の蓋が載っており、しかも現物の座標の記載もあるので、このカードを集め座標蓋を撮影していくと、自然に蓋の写真が増えてきます。

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◯天気予報のチェック
一部の例外を除いて、屋外の撮影がメインになりますので、天気予報のチェックは欠かせません。当日の予報はもちろんですが、数日前からの予報も確認して場所を決めることをお勧めします。

 

撮影時

事前に調べた情報を元に、現地で蓋を探しましょう。またその際には、迷惑にならないように行動し、安全のため車や自転車など常に周りに注意しましょう。

太陽の位置により自分自身の影や、建物等の影が蓋にかぶります。その際には、他の個体を探したりして、時間を少しずらしましょう。太陽は思ったより早く移動しますので、影の状況によっては、ベストな撮影ができるかもしれません。

 

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自由なアングルで撮影して構いませんが、蓋のデザインには上下がありますので、向きを理解して撮影すると良いですね。多くの蓋には、自治体の市町村章が描かれていますので、市町村章の向きで上下がわかります。

GPS付きのカメラやスマートフォンで撮影すると、撮影後の整理が簡単です。

写真撮影では無く拓本(たくほん)*1 をとられる方もいらっしゃいます。事前に関係各位との調整は必ずおこなって下さい。

 

撮影後の楽しみ方

撮影した写真を整理します。市町村名がわかる蓋は良いのですが、中には汎用的なデザインの蓋で撮影場所がわかりづらい蓋もありますので、早めに整理するとのがオススメです。

なぜこのデザインになったのかをじっくり調べてみるのも、意外なことがわかって楽しいです。

ブログやSNSで全国のマンホーラーと成果を共有するのも楽しいです。Twitter ではハッシュタグ #manhotalk などで、Facebook やインスタグラムでも、全国のマンホーラーが情報を交換しています。

 

その他

マンホールコースターやキーホルダー、カレンダー等各種グッズも発売されていますので、お気に入りの蓋をコレクションすることも可能です。

ここ数年マンホーラーの為にマンホール蓋に関するイベントが開かれるようになりました。今年も2018年11月3日(土)にマンホールナイトマンホールサミット北九州2018などのイベントが予定されています。

 

まとめ

さて、駆け足でのご紹介でしたが、「路上の芸術」と言われるマンホール蓋の世界はいかがだったでしょうか?

間違いなく日本はデザインマンホール蓋が世界で一番普及している国です。あなたも気軽に日常にある「路上の芸術」を楽しんでみてください。

 

 

*1  拓本(たくほん)
凹凸のある石碑、器具(硯、青銅器など)に紙や絹を被せて密着させ、上からタンポに含ませた墨を打ち(上墨;じょうぼく)、凹凸を写しとること、また写し取った紙や布のこと。写しとられた器物の像を拓影という。凹んだ部分が白く、凸部分が黒く紙上に現れる。(Wikipedia 2018/09/09)