シンポジウム「small music – ロルフ・ユリウスのアートの世界」  CURATORS TV

ARTLOGUE 編集部

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シンポジウム「small music – ロルフ・ユリウスのアートの世界」 のギャラリートーク

スピーカー

中川真

会場

京都国立近代美術館

会期

2012年4月7日(土)

展示について

2011年1月、ドイツを代表するサウンドアーティストであるロルフ・ユリウスが享年71歳で逝去しました。写真家としてアートシーンに登場したユリウスは1970年代後半より、音の表現へと移行していき、‘small music’ というコンセプトのもと、微小音の繊細な変化を特色とする独自のアートの世界を築いてきました。押しつけがましくなく、耳をそばだてることを求める彼のアートは、日本にも多くのファンを生み、2010年夏の瀬戸内国際芸術祭にも参加、健在を示していましたが、2011年に入ってガンが悪化、帰らぬ人となりました。本企画では、ユリウスを偲び、彼のサウンドインスタレーションをマイヤ・ユリウスの監修のもとで再現するとともに、彼のアートの特色について、アーティストやキュレーター、音楽学者などによって語り合うシンポジウムを開催します。20世紀後半に出現したサウンドアートは、欧米や日本、オーストラリアなどで発展してきましたが、そのなかでもユリウスは傑出したアーティストであったといえます。生前に、こうした形でユリウスのアートについて集中的に議論する機会はありませんでした。ユリウスのアートは何だったのか、今後のアートに何を残そうとしているのか、20世紀から21世紀にかけてのアートを展望したいと思います。

アーティストについて

ロルフ・ユリウス Rolf Julius(1939 - 2011) 1939年Wilhelmshavenに生まれる。ブレーメン、ベルリンの芸術大学(美術科)を卒業ののち、映像作家(写真)として1967年にベルリンのGalerie Siegmundshofにてデビュー、以後、堤防や身体のラインに焦点をあてた作品をドイツ国内にて発表する。1970年代より音響を写真のインスタレーションに取り込み、徐々にサウンド表現へと移行する。簡単なブザーなどを用いた微細音を中心とする表現を‘small music’と呼び、「聴くこと」、「音と人との親密な関係」などの追究をライフワークとして、実験的な作品をつくり続けた。国の内外においてパフォーマンス、インスタレーションを精力的に行い、ドイツを代表するサウンドアーティストとなった。パリ・ビエンナーレ(1985)、リンツ・アルスエレクトロニカ(1987)、カッセル・ドクメンタ(1987)、モントリオール・アクースティカインターナショナル(1990)、ドナウエッシンゲン国際現代音楽祭(1999, 2003)、ベルリン・ゾンアンビエンテ(2006)などの国際的フェスティバルから招聘される。日本においても「ノイズレス 鈴木昭男+ロルフ・ユリウス」(京都国立近代美術館 2007)、瀬戸内国際現代芸術祭(2010)などで作品を発表し、ユリウスファンも多い。2011年にベルリンにて歿。

スピーカーについて

マイヤ・ユリウスMaija Julius マールブルク、フランクフルト、バルセロナ等で美術史学や民族学を学んだ後、ベルリン工科大学にて修士の学位を得る。2003年以降、フリーランスのキュレーター、カタログ編集者などとして世界各地で働く。主なキュレーションに「Al lado des silencio – Neben der Stille」(バルセロナ)、「Inner Spaces」(ドルトムント)、「Peripherie 3000 – strategische Plattform für vernetze Zentren」(ザグレブ等)がある。カタログ等の執筆多数。父ロルフ・ユリウスの作品監修を行う。 鈴木昭男(すずきあきお) 1960年代より音の自修イベントを開始。創作楽器 ANALAPOS ('70)や、コンセプチュアル・サウンドパフォーマンス、インスタレーション、そして音のプロジェクト「日向ぼっこの空間」('88)、「点 音(oto-date)」('96~)を展開。ロルフ・ユリウスとはドイツ・カッセルの「ドクメンタ 8」('87)、ドナウエッシンゲン現代音楽祭('97)、そして「ノイズレス 鈴木昭男+ロルフ・ユリウス」展(京都国立近代美術館'07)等でともに作品を発表。 かわさきよしひろ フィールドレコーダーの草分け的存在。1990年 St. GIGAの開局に伴い世界各地をロケし番組制作、CD「バリ島」「トリニダードトバゴ」など13作品。1997年に世界で初めてのリアルタイムで世界の音が聞こえるサイト SoundExplorerを制作、現在 SoundBum、Aquascape などがある。世界の音の作品は、日本科学未来館、東京都写真美術館、金沢21世紀美術館などで展示された。プラネタリュム作品として詩人谷川俊太郎とのコラボレーション「夜はやさしい」などがある。 桑原敏郎(くわばらとしお) フォトグラファー。1949年、愛媛県生れ。1975年、東京綜合写真専門学校卒。1976年、Photo-gallery PRISM 創設に参画。以後、ギャラリー展示による作品発表を中心に活動。同時期よりジャズ、ロック、フリーミュージックなど音楽シーンの撮影にも関わる。1980年代後半、小杉武久を通じ、ロルフ・ユリウスと親交を持つ。1990年、東京・ギャラリー伝にてDRAWING & MUSIC Parformance展を企画。以降、2008年まで同ギャラリーにて Rolf Julius 'Table Music' を企画。 藤島寛(ふじしまゆたか) 専門は性格心理学。80年代よりジョン・ケージ(米)など実験的音楽に関心を持つ。主要な企画制作に、「点音Ⅱ」(1998、ストラスブール)、「ノイズレス」展(2007、京都国立近代美術館)がある。音楽や美術の論考として、「可視的な音楽」、「ART RULES」(『視る』2001、2008)、「鈴木昭男展 点気 ki-date」カタログ・テキスト(三岸節子記念美術館、2008)などがある。 中川真(なかがわしん) 東南アジアの音楽の実践を行う傍ら、サウンドスケープ、サウンドアートの研究を行い、『平安京 音の宇宙』(平凡社)、『音は風にのって』(平凡社)、ユリウスと鈴木昭男を中心に論じた『サウンドアートのトポス』(昭和堂)を刊行。サントリー学芸賞、京都音楽賞などを受賞。近年は小説『サワサワ』(求龍堂)のほか、『これからのアートマネジメント』(フィルムアート社)を上梓。本年6月に『アートの力』(和泉書院)を刊行予定。大阪市立大学大学院教授。