建築を通して京都を知る大規模建築展「モダン建築の京都」が、京都市京セラ美術館にて開催中!

建築を通して京都を知る大規模建築展「モダン建築の京都」が、京都市京セラ美術館にて開催中!

1933年に「大礼記念京都美術館」として開館した「京都市京セラ美術館」。第二次世界大戦後には、「京都市美術館」として活動してきました。開館以来、85年余りの長きにわたって親しまれてきた本館は、今や現存する日本で最も古い公立美術館建築として知られています。2020年春、建築家・青木淳氏と西澤徹夫氏の設計でリニューアルオープンし、この度京都市京セラ美術館の開館1周年を記念して、「モダン建築の京都」展が2021年12月26日まで開催中です。

京都市京セラ美術館

モダン建築の京都
明治時代、東京への遷都を機に衰退した京都は、その後の復興を経て、教育や先端技術、文化、観光などにおける先駆的な都市として発展し、それらを象徴するように数々の名建築が生まれました。そして幸運なことに、震災や戦災の被害がほとんどなく、明治以降に建てられた洋風建築や近代和風建築、モダニズム建築など、いわゆる「モダン建築」の多くが現存しています。京都は「生きた建築博物館」と言っても過言ではありません。

本展は、京都を代表するモダン建築の一つ、京都市京セラ美術館を会場に、建築を通して京都を知る大規模建築展です。明治元年から1970年代初頭までに竣工した100の建築の中から厳選した36プロジェクトを、「古都の再生と近代」「様式の精華」「和と洋を紡ぐ」「ミッショナリー・アーキテクトの夢」「都市文化とモダン」「住まいとモダン・コミュニティ」「モダニズム建築の京都」といった7つのセクションに分けて、400以上の貴重な資料とともに紹介しています。展覧会初出展の重要文化財などの図面、写真、スケッチ、模型、家具、映像、言葉といった多様な資料が展示されており、建築に携わっている方や建築好きの方はもちろん、建築初心者の方も十分楽しめる内容になっています。

今回は、7つのテーマの中でもおすすめの3セクションをピックアップ! 早速、みていきましょう。

 

■セクション1 古都の再生と近代

平安京の時代から千年、皇室をはじめ公家や諸侯らのお膝元として栄えてきた京都。明治に入ってからは、東京遷都によって一気に衰退し、官民が一致して復興に取り組みます。中でも推進力となったのは教育と殖産興業です。初めに紹介するのは、西洋の文化や技術を取り入れ、京都の再生を成し遂げた象徴的なプロジェクトです。

ここでは、第四回内国勧業博覧会と平安神宮、琵琶湖疏水と旧御所水道ポンプ室、京都市明倫尋常小学校(現・京都芸術センター)、島津製作所河原町旧本社(現・フォーチュンガーデン京都)が展示プロジェクトとなっています。

「モダニズム建築の京都」展示風景

 

■セクション3 和と洋を紡ぐ

「日本に建つべき建築とは」という問いは、日本が西洋建築を学び始めた明治初期から投げかけられていました。日本からアジア、ヨーロッパを捉え直し、時には中国や中東などの要素も混ぜ合わせることで、和と洋の隔たりを埋めようと試みました。こうした日本と多様な文化が折衷した建築は、京都にこそ相応しいのかもしれません。

このセクションでは、真宗信徒生命保険株式会社本館(現・本願寺伝道院)、京都大倉別邸(現・大雲院)祗園閣、京都市庁舎本館、聴竹居(旧藤井厚二自邸)、大礼記念京都美術館(現・京都市京セラ美術館)が展示プロジェクトです。

「モダニズム建築の京都」展示風景

 

■セクション7 モダニズム建築の京都

意匠、設備、施工などの側面から合理的な建築を追求し、様式建築からの脱却を目指した戦前。国際的な潮流を受容し、それを進化/深化させた戦後。新しい時代の到来を予感させる名作から、モダニズムの美学を継承しつつ、環境や伝統文化を取り込み、風土に馴染む空間の創造に成功した傑作まで、未来へ遺したい建築が京都には存在します。

ここでは、京都中央電話局西陣分局舎(現・西陣産業創造會舘)、京都帝国大学(現・京都大学)楽友会館、旧本野精吾邸、鶴巻邸(現・栗原邸)、京都帝国大学(現・京都大学)花山天文台、同志社アーモスト館ゲストハウス、京都大学総合体育館、国立京都国際会館のプロジェクトが展示されています。

「モダニズム建築の京都」展示風景

本展では、建築を建築史、建築家の視点からだけではなく、その建物を取り巻く関係人脈、時代背景などからも考察して展示されています。美術館内での「展示鑑賞による知見」と、オフィシャルブック「モダン建築の京都100」や、人気声優によるまち歩き音声ガイドアプリ「モダン建築クロニクルKYOTO」もあわせて体験することで、「生きた建築博物館」としての京都の魅力を改めて実感することができるでしょう。また、HISによる特別ツアー「モダン建築の京都」や、大雲院 祇園閣や旧三井家下鴨別邸などの特別公開、レストラン&カフェとのコラボ企画、関連イベント「京都建築映像祭2021」の他にも様々な連携企画があり、盛りだくさんの内容で皆さんをお待ちしています。

ぜひ、会場に足を運んで、建築の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

モダン建築の京都図録


​​​​開催概要
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■京都市京セラ美術館開館1周年記念展 モダン建築の京都
会 期:2021年9月25日(土)〜12月26日(日)
会 場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ 
時 間:10:00〜18:00
*最終入場は17:30
休 館:月曜日
料 金:一般1,900円(1700円)、大学専門学生1,400円(1200円)、高校生900円(700円)、小中学生400円(200円)
*( )内は前売・20名以上の団体料金(前売は本館公式オンラインチケットe-tixのみで販売)
URL: kyotocity-kyocera.museum
 

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