miratap Art Award / Art in the House 2025 受賞者決定! 受賞者展は7月31日(木)まで

執筆:赤坂志乃
ミニマルで洗練されたミラタップのショールームで展開される「miratap Art Award / Art in the House 2025」。7回目を迎える今年は、より良いLIFEスタイル「アートのある暮らし」を提案する作品展示プランを公募。審査の結果、受賞者が決定し、6月5日(木)に展示会場であるミラタップ大阪ショールームで授賞式が行われました。受賞者の作品は7月31日まで同会場でお披露目されています。
受賞者の作品をミラタップ大阪ショールームで展示
本アワードを主催する株式会社ミラタップは、「くらしを楽しく、美しく。」を理念に、キッチンをはじめとした住宅設備機器などを開発・販売。さらに次世代の現代アート分野で活躍する人たちを支援しています。
同社の山根 太郎社長は、授賞式のあいさつの中で、「ミニマリズムを体現するミラタップのシンプルな生活空間は、アートを組み合わせることでより生き生きとした空間になります。会社のビジョンの一つに、事業活動を通じて子供たちの明るい未来を創ることを掲げており、これからの未来を一緒に創るアーティストの人たちを応援したいと思っています」と、アワードを立ち上げた理由を説明。
美術館でもギャラリーでもなく、暮らしの空間でのアート展示に重点を置いたユニークな「miratap Art Award / Art in the House」。応募は推薦人制度を取っており、審査委員が書類審査で応募者の中から3人ずつ作家を選び、活発なディスカッションを経て受賞者を決定します。
今回、審査にあたったのは、山根 太郎(株式会社ミラタップ 代表取締役社長)/鈴木 大輔(株式会社アートローグ 代表取締役 CEO)/岸本 光大(大阪関西国際芸術祭2025 キュレーター)/仲野 泰生(一般社団法人京都二条国際文化芸術交流会 理事長)/出川 哲朗(大阪市立東洋陶磁美術館名誉館長)の5人(敬称略)。
審査員の一人であるキュレーターの岸本光大さんは、「審査は一種の格闘技戦でした。工芸、現代美術、写真、立体問わず、様々なジャンルの作品が様々な文脈で一つのテーブルに並んでいたのは新鮮で、楽しみながら審査できました」と振り返ります。
見事、受賞したのは、こちらの方々です。受賞コメントと選者による講評の一部を紹介します。
【グランプリ】
矢作 理彩子《誰がために咲く花》
推薦者:川又 俊明(シンクタンク株式会社)
《誰がために咲く花》
《誰がために咲く花》会場展示風景
矢作 理彩子
グランプリを受賞した矢作 理彩子さん(左)と選者の出川 哲朗さん
■講評(出川 哲朗)
ガラスは紀元前のエジプトからある非常に古い素材。大英博物館に行けばそんなガラスの作品が今に伝えられています。ガラスは外からの光によって一部は反射し、一部は透過してしまう。また当てる光によって様々に輝く。そのガラスの魅力を非常にうまく生かしたのが矢萩さんの作品だと思います。《誰がために咲く花》は花なのか葉なのか。やはり花だろう。こちらの展示空間に置かれると非常に輝いて見え、自己主張はしないけれど存在感があります。「Art in the House」にふさわしく、置いてもよいし壁面に飾ってもよい。飾り方もフレキシブルで、空間に映えるという点からもこの作品を選びました。
■受賞コメント
私はガラス鋳造をメインの技法としています。今回の作品も鋳造ガラスの表面を粗く起こして、退廃的な表情の中に時間と光をまとうもの。タイトルも《誰がために咲く花》と、具体的に表現していません。花なのか何なのか。イメージはどう感じていただいてもいい。
パンデミックの時にものごとが有限であることに気づかされて、一人になりたいと思うことがありました。そういう時に森に入っていって一輪の花が咲いていたら、その瞬間、一人になりたかったのに誰かに見せたいと思うはずです。それが利他性であり、社会を幸福にしていくと思います。このような生活空間に展示していただき、素敵な講評をいただいて感謝しております。
■アーティストプロフィール
奈良大学文学部文化財学科保存科学コース卒業後、2003年に東京ガラス工芸研究所研究科修了。2007 年から大阪芸術大学工芸学科ガラス工芸 コースで技術指導員を務め、2012 年に自身のアトリエ「Glass Studio ARGO」を設立。現在も教育活動を続けながら、2017 年には LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 大阪府代表に選出されるなど、地域に根ざした制作を行っている。
【ミラタップ社長特別賞】
野田 朗子《Water Shadow》
推薦者:藤原 信幸(東京藝術大学 美術学部工芸科素材造形(ガラス造形研究室) 教授)
野田 朗子《Water Shadow》
《Water Shadow》会場展示風景
ミラタップ社長特別賞を受賞した野田 朗子さん(写真左)と選者の山根 太郎社長
■講評(山根 太郎)
純粋に「Art in the House」のコンセプトにマッチしているかどうかをポイントに選びました。《Water Shadow》は水回りを扱う展示空間が映えるような水がテーマの作品。ミニマルな空間に彩りを与えてくれる色づかいと曲線が美しい。展示している壁にはもともと何もなかったので、できれば作品を購入して飾りたいと思っています。
■受賞コメント
《Water Shadow》は水の大切さを伝えるための作品です。私の住む京都もこの大阪も、またロンドンも世界中の都市が水のそばで栄えてきました。人間の身体の60%以上は水でできていると言われ、私たちの生命と切っても切れない水の大切さを、ガラスの光と影の両方で表現しています。
室内のスポットライトでもインテリアとして見ていただけますし、太陽光でも差し込む光の角度によって色が変わりとてもきれいです。また下から光を当てると青い影が出て表情が変わります。作品を通していろいろ感じていただければと思います。
■アーティストプロフィール
京都市生まれ、在住。同志社大学大学院で経済、総合政策を学び、新聞社、広告代理店に勤務後、 幼い頃から好きだったアートの世界に飛び込み、東京藝術大学大学院を修了。大学勤務を経て、現在、京都を拠点に、東京、ロンドン、NY など、国内外の個展、アートフェア等で作品 を発表している。2013年第52回日本現代工芸大賞受賞など受賞多数。京都の豊かな自然と文化に囲まれて育った幼少期と東京での激務の経験のギャップから、現代社会における時間の流れ方や環境問題に疑問を持ち、自然への敬意を制作のコンセプトとして、生から死へと向かう命のゆらぎ、うつろいゆく一瞬を主にガラスで表現している。
【ファイナリスト入選】
萩野 真輝《Le bocal de poisson soluble-溶ける魚の金魚鉢-》
推薦者:福住 憲一(Ken Fine Art ギャラリスト)萩野 真輝《絵画の脱構築》
※本作品はショールーム展示が叶わなかったため、 過去作から展示しています。
椎橋 良太《空のコンポジション - 大阪 2025》
推薦者:墨屋 宏明(DART株式会社 CEO/アートプロデューサー、NPOルートカルチャー 理事)
椎橋 良太《空のドローイング-東京、新宿#03》
長野 久人《安息のソファー》
推薦人:栗本 夏樹(京都市立芸術大学美術学部教授)
長野 久人《安息のソファー》
◆miratap Art Award / Art in the House 2025展示会
ミラタップ大阪ショールーム内で、グランプリを受賞した矢作 理彩子の作品のお披露目展示ほか、ミラタップ社長賞特別賞、および入選者の過去作品などの展示を行っています。スタイリッシュな生活空間と現代アートの響き合いをぜひ体験してください。
展示期間:7月31日(木)まで、10:00~17:00
会 場:ミラタップ大阪ショールーム(〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町3−1 グランフロント大阪北館 5F ハウジング・デザイン・センター大阪内)
主催:株式会社ミラタップ
運営協力:株式会社アートローグ
ミラタップ大阪ショールームで「miratap Art Award / Art in the House 2025」の受賞作品を展示

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