グランプリ決定 & 受賞展3DVR公開!「sanwacompany Art Award / Art in The House 2021」
株式会社サンワカンパニーは2021年3月3日(水)、3回目を迎えた『sanwacompany Art Award / Art in The House 2021』のグランプリをはじめとした各賞の受賞者/受賞作品を発表しました。同時にサンワカンパニー東京ショールーム(東京・外苑前)において受賞作品を展示する『sanwacompany Art Award / Art in The House 2021 グランプリ受賞展』を3DVR技術を用いたオンラインでの公開を開始しました。
sanwacompany Art Award / Art in The House 2021 受賞展 3DVR 空間内には、全受賞者のメッセージビデオも埋め込まれています。
グランプリに輝いたのは手嶋勇気《Convertible painting》。サンワカンパニー社長特別賞に寺脇扶美《crystal》。ファイナリストには、折田千秋《Collective Image》、小松敏宏《透視202101》、福田ひろあき《あそびの場所》が選出されました。
手嶋のグランプリ作品をはじめ、描く手法はアナログだが、その過程に巧みにデジタルの手法を取り入れることで、「いま」を感じさせる、クールな作品が見受けられ、現代のライフスタイルによりマッチした作品が選ばれている印象を持ちました。
2018年から開催されている「sanwacompany Art Award / Art in The House」は現代美術の世界で活躍する気鋭のアーティストをサポートするとともに、タイトルにArt in The Houseとあるように、よりよいライフスタイルとして「アートのある暮らし」を提案する作品と展示プランを選出するもの。
Art in The Houseのコンセプトをより鮮明にしているのが、サンワカンパニーのショールームに設置された生活空間を使ってのグランプリ受賞展の開催にあります。
今回もショールームでの受賞展を開催し、一般に公開する予定でしたが、COVID-19感染防止対策による非常事態宣言を受けて、一般公開を中止し、オンラインでの公開のみとなりました。リアルで作品を鑑賞できないことは残念ですが、公開の手法に多くの美術館やギャラリーでも採用している、実際の空間を4K3DスキャンするMatterportを使うことで、よりリアルにまた、本来展示が出来ない通路などにも作品を展示し、より多くの作品鑑賞が可能になっています。2月24日(水)に予定していた「作品完成お披露目レセプションパーティー」は中止となり、受賞者、審査員ならびに関係者のみが出席して授賞式を執り行われました。
受賞作品紹介
◯グランプリ
手嶋勇気《Convertible painting》
推薦人:今井みはる(アートギャラリーミヤウチ 学芸員)
爽やかな印象の作品ですが、中空に浮かぶバッテンなど、一見して何を描いているのかわかりにくいのですが、これが広島市の中心街の景色をある視点から描いたものと聞くと、なぜか合点が行きます(その視点がどこかわかるとバッテンの意味も理解できます)。
それには手嶋さんは実は写実絵画を学んできたという確かな技術が支えていることで理解できます。
また、手嶋さんはiPhoneのドローイング用アプリでスケッチをして、出来上がった画像をプロジェクターで投影して描いていくという、聞いてみなければわからない斬新な方法で制作しています。加えて、今回の出品作は、複数の描き手で描かれているそうです。これはより大きな作品への展開や大掛かりなプロジェクトへの発展も期待できるものです。
◯サンワカンパニー社長特別賞
寺脇扶美《crystal》
推薦人:長谷川喜久(名古屋芸術大学 日本画コース教授)
寺脇さんは鉱物を描くことで見出す力を探求していると言います。受賞作品もタイトル通り、クリスタル(水晶)を描く対象としています。水晶は六角柱で複雑な屈折のため実体が掴み難いのですが、寺脇さんはこれを精緻にスケッチし、そこから浮かびだした線をレーザーカッターで切り出し、それをエンボスとして写し取り、日本画の顔料(これもまた鉱物です)を使って描き出しています。
とても複雑な行程で制作されていますが、作品そのものはもっとも生活空間にピッタリな清楚な印象を与える作品になっています。
◯ファイナリスト
折田千秋《Collective Image》
推薦人:庄司みゆき(一般社団法人イヴォルブアート&デザインジャパン 理事/キュレター)
《Collective Image》という作品名は「印象の集合知」という意味があります。本作品は茨城県ひたちなか市のローカル鉄道の車窓から見える風景写真を電車に乗る乗客に見てもらい、印象に残った色を抽出+それを具材としアプリケーションを用いて一枚の写真に再構築したものです。また同じような取り組みを、北茨城市の山と海が見える風景でも行っています。
通常、作品制作は一人または固定された少人数のメンバーで制作されますが、緻密なリサーチと協力者とのコミュニケーションが生み出す意外性が作品のビジュアルに如実にあらわれていて興味深いです。
◯ファイナリスト
小松敏宏《透視202101》
推薦人:河西香奈(KANA KAWANISHI GALLERY ディレクター)
小松さんは美術大学で教鞭をとる教員で、アートコンテストへの出展に消極的な学生たちの規範になるべく参加したと言います。斬新な表現の写真作品は(失礼ながら)年齢を感じさせない新鮮な手法で制作されています。
とりわけ4人家族の頭部が家に置き換わっている写真には、写真そのものの見た目以上になにか違和感を感じさせます。夫婦と子供、祖母という風に見えますが、よく見るとそうではないのかもしれないという印象を持ちます。小松さんによれば「とても複雑な家族なのです」と言います。見えるものばかりが真実を物語る訳ではないのかもしれません。
◯ファイナリスト
福田ひろあき《あそびの場所》
推薦人:木村剛士(多摩美術大学 講師 / 彫刻家)
会場に入って最初に目に飛び込んでくるのが福田さんの《役立たずの機械》。大理石を削った水盤に蛇口から黒い液体が垂れ続け、なぜか脚部は足踏み式ミシン。たしかにまったく役に立たない存在です。
その他の作品もどうみても役に立ちそうにないものばかりで、頭に浮かんでくるのが遊具や公園といったキーワードです。飲めないし、遊べない、使えないものばかり。つまりは、遊べない公園=子どもたちが遊んでいない公園。外出できない「いま」の私達の状況(もしくは苦悩)を表しているようです。
これまでは同賞の審査には審査員がサンワカンパニー東京ショールームに集まり選考を行っていましたが、今回の審査はすべてオンラインでの選考となりました。
「sanwacompany Art Award / Art in The House 2021」
主 催:株式会社サンワカンパニー
運営協力:株式会社アートローグ
審査委員:
南條史生(森美術館 特別顧問)
遠山正道(株式会社スマイルズ 代表取締役社長)
塩見有子(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]理事長)
山根太郎(株式会社サンワカンパニー 代表取締役社長)
鈴木大輔(株式会社アートローグ 代表取締役CEO)
過去のグランプリ
2020グランプリ:角 文平(カド・ブンペイ)《壁庭(かべにわ)》
推薦人:庄司秀行(アートフロントギャラリー ギャラリーマネージャー)
2019グランプリ:顧 剣亨(コ ケンリョウ)《Inbetweening》
推薦人:椿 昇(京都造形芸術大学美術工芸学科 教授・学科長)
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