ウィム・クロウエル グリッドに魅せられて

本展はオランダのグラフィックデザイナー、ウィム・クロウエルの業績の全容を伝える日本初の展覧会です。クロウエル(1928年-)は、1952年に展覧会を手掛けるデザイナーとして出発しましたが、アムステルダム市立美術館のグラフィックデザイナー(1963-1984年)としての仕事が最も著名と言えるでしょう。
また、実験的なコンピューター・アルファベット、切手、そしてカレンダーのデザインでも知られており、高く評価されています。1963年、多分野を総合的に扱う大手デザイン会社、トータルデザインの共同設立者となりますが、同社はスイス・モダニズムとコーポレート・アイデンティティをオランダに広めることとなります。クロウエルは教育、執筆、そして講演活動も精力的に行いながら、グラフィックデザイナーとして、グリッドを活用した合理的かつシステマティックなデザインを推進していきました。デザイナーとは、広告よりむしろ客観的な姿勢を持ってインフォメーションデザインに取り組むべき、と主張する彼の見解は、新たなパラダイムの形成を後押しし、生き生きとしたデザインの風潮を生み出すことにも貢献しました。クロウエルの全業績を顧みると、理論と手法に前例のない次元の詩情と美学を統合させつつ、半世紀にわたって極めて一貫性のある作品づくりを実現し続けてきた証しが浮かび上がってきます。

/ 2017年12月14日