今日は「国際博物館の日」:アートをおしきせ 20180518

ARTLOGUE 編集部

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英語の「museum」の由来として知られる「ムセイオン(museion)」は古代ギリシアで誕生した文化施設。特権階級の子弟や学者たちが学び、研究を行なう場でした。


5月18日は国際博物館の日です。この記念日は、世界中の博物館、博物館専門家から成る国際的な組織「国際博物館会議(ICOM)」によって、1977年に制定されました。年毎にテーマが設定されていますが、今年は「Hyperconnected museums : New approaches, new publics(新次元の博物館のつながり-新たなアプローチ、新たな出会い-)」だそうです(2019年にはICOMの大会が日本で初めて京都で開かれるとのこと!)。博物館に行くのが好きな人でさえ、「博物館とは何ぞや」とは普段なかなか考えないと思うので、博物館の役割、あり方について思いを巡らすのに丁度よい機会かもしれません。そもそも博物館と一口にいってもその範疇に美術館や、科学館、植物園や動物園、水族館といった幅広い文化施設が含まれことています。

博物館の歴史は一体いつまで遡ることが出来るのでしょうか。博物館の基本的な機能は、収集(それに伴う保存や管理も含む)、調査研究、展示、教育普及ですが、こうした機能がデフォルトとして整えられていくまでには長い経緯があります。

例えば古代アッシリアでは戦利品を勝利の証として陳列おり、現在の博物館の直接的な前身とはいえないものの、収集し展示するという点で博物館に近接する行為が行われていたそうです。

また『美術館の誕生 美は誰のものか』には、古代ギリシアでは、芸術性の高い宝物、貴重品が集められ、なおかつ公共にも開かれていたことが述べられています。

…古典古代のギリシアにおける神殿、デルフィにあったアポロの神殿を考えてみよう。この時代の神殿は、いわば、巨大な国営の聖域として非常に公共性の高いものだったが、一般庶民の集会場的な役割も果たしていた。そして、こうした神殿の敷地の一角には、各地から定期的に巡礼に訪れた人々が奉納していった宝物を保管するための小さな建物があるのが普通だったという。…人々には、神殿の豪壮な建築や装飾、本尊とでもいうべき彫像を賛嘆の眼差しをもって鑑賞することが許されていたのである。

岩淵潤子『美術館の誕生 美は誰のものか』中央公論新社、2005年

 

ナチスが略奪した美術品についてはよく耳にしますが、戦争等での略奪は有史以来繰り返されており、権力者や兵士が征服した地域の珍しいものを持ち帰り、コレクション化するということは行われていました。現在様々な国の博物館、美術館で公開されているコレクションも、権力闘争や、他国との争い等をきっかけに形成されていったものが結構あります。

欲望と好奇心は人の歴史を動かす原動力の一つですが、収集癖というのもそれらがあってこそ派生するもの。奪われる側は複雑ですが、人類がまるで無欲無関心であれば略奪以前に何かを残そうという気すら起きず、現在みることも叶わなかったかもしれません。

美術館は特に静かにかしこまって鑑賞すべしとの暗黙の了解がありますが、眼前に置かれている展示品はある意味人間臭さの賜物。つくり出され、所蔵するまでには何がしかのドラマがあります。沈黙の空間の中でそのストーリーを想像するのも一興かもしれません。

全国の国際博物館の日関連行事はサイトから確認できるのでチェックしてみてください。