インタビュー:アンドレア・ガーランド&アンドリュー・J・バートン

インタビュー:アンドレア・ガーランド&アンドリュー・J・バートン

コラム「キュートなデイリーアート―ナチュラルコスメ〈アンドレア・ガーランド〉の世界―」(https://www.artlogue.org/andrea_garland/)にてご紹介した「アンドレア・ガーランド」。優れた品質はもちろんのこと、何ともキュートな世界観が魅力です。今回は、アンドレアとパートナーかつパッケージデザインを担当するアンドリューが来日すると聞き、製品やお二人についてお話を伺ってきました。 

 

インタビュー:アンドレア・ガーランド&アンドリュー・J・バートン 

 

ハードに働く日々をリセットしてアロマセラピーの道へ。 

 

芝田江梨(以下S):はじめまして。まず、あなた自身について、あなたのバックグラウンドについて教えてください。

アンドレア・ガーランド(以下AG):ウェールズ出身で、メディアスタディー、コミュニケーションスタディーの学位を持っているわ。その後ロンドンに引越してユニバーサルミュージックで働いていたのだけれど、キャリアを変えたいと思うようになって、ナチュラルセラピーやアロマセラピーを学ぶために大学に戻ったの。リフレクソロジーやマッサージも学んだのよ。

S:なぜキャリアを変えたいと思ったのですか?

AG:刺激的な会社で働いていたけれど、とても忙しくてハードな側面もあって、当時の自分を取り巻く環境をリセットしたくなったの。メディア業界にいた時から、ケミカルでない自然のオイルや精油を使ったスキンケアに個人的に興味があったので、アロマセラピーを学びたいなと。 

 

ヴィンテージコレクションをいかして、もっとわくわくするパッケージデザインのナチュラルスキンケア製品を作りたい。

 

S:ナチュラルコスメの会社を始めたきっかけは?

AG:アロマセラピーを学んだ後、まずアロマセラピストになって、教える側になったの。そのうち自分のスキルで何が出来るか考えるようになって。これは私の意見だけれど、当時自分の身の回りのナチュラルなスキンケア製品のパッケージデザインにあまりわくわくしなくて、もっと面白いものに出来ないかな、なんて。私もアンドリューもヴィンテージが好きで、毎週末フリーマーケットやセカンドハンドのお店に出かけては、集めていたの。缶のコレクションなんかすごいのよ。とても美しいけれど眠ったままになっているコレクションを役立てたいと考えている内に、自分の作ったリップバームの容器に使うことを思いついて。早速イーストロンドンのマーケットで売ろうと決めたのが始まりね。

 

S:ナチュラルコスメブランドとして製品を作る上で一番大切にしているのは何ですか?

AG:大切にしていることは2つあるわ。まずは効能。肌や身体にどのように働きかけるのかということね。それからパッケージデザイン。良い製品であるだけでなく、美的であるものを心がけている。

 

こだわりのパッケージデザイン。ヴィンテージへの愛着から積み重ねられるアイデアソース。 

 

S:それぞれのパッケージデザインの頻度やテーマ、モチーフについてお話しください。

AG:夫のアンドリューが私の製品のパッケージデザインをたくさん手がけているわ。ピルボックスタイプのデザインは年に2回、新しいものを出しているの。春夏、秋冬とね。例えば今回の春夏では黒猫のデザインで3パターン、「不思議の国のアリス」モチーフで3パターンと6つデザインを用意したわ。

アンドリュー・J・バートン(以下AB):インスピレーションは、例えばキツネのデザインはフランスのフリーマーケットでみつけたイメージが基になっている。マーケットやアンティークショップでみつけたデザイン、イメージをスクラップブックのように集めてデザインソースにしているよ。

ピルボックスタイプのケースに入ったリップバーム。「LE RENARD」。ヴィンテージにインスパイアされたデザインの一つ。ちなみにインタビュアーも、この日一つ私物を持参しておりました。

ピルボックスタイプのケースに入ったリップバーム。「LE RENARD」。ヴィンテージにインスパイアされたデザインの一つ。ちなみにインタビュアーも、こちらのデザインの私物を持参しておりました。


その中から「来年はこれがいいかな」と、5つくらい案を選ぶんだ。これは僕のスケッチブックだけど、その中にもアイデアが詰まっているんだよ。

 

アンドリューが持ち歩いているスケッチブック。アンドレアやアンドリュー自身、二人の飼っているヨークシャーテリアのブラッケン君等、日常から紡ぎ出されたスケッチはパッケージデザインのインスピレーションにもなっています。

アンドリューが持ち歩いているスケッチブック。アンドレアやアンドリュー自身、二人の飼っているヨークシャーテリアのブラッケン君等、日常から紡ぎ出されたスケッチはパッケージデザインのインスピレーションにもなっています。


AG:彼はたくさんスケッチを書いているのよ。

AB:ペインターになろうとしていて、仕事はビデオエディターだけれど。僕には2つ仕事がある。昼はMTVで番組の編集をし、夜はアンドレアとの仕事。とても忙しくしているよ。

S:アンドレア・ガーランドの製品のためにたくさん女の子のイラストを描いていますが、どんな女の子をイメージしていますか。

AB:いつもアンドレアを描いているんだ。イラストに関していえば、イギリスの有名なイラストレーター、ロナルド・サール(Ronald William Fordham Searle)が好きだね。彼はコミックブックシリーズ『聖トリニアンズ女学院(St Trinian's Schoolgirls)』を描いている。子どもの時に読んで「おー!!」って夢中になったんだ。それから『ピーナッツ』みたいなコミックブック。ヨーロッパ、特にフランスやベルギー、オランダのグラフィックデザインや1940~50年代のヴィンテージデザイン。古いものに心を奪われているね。アメリカのイラストレーター、ソール・スタインバーグ(Saul Steinberg)のスタイルもすごいんだよ。

 

S:最後に、ARTLOGUEのコラムでは、「アンドレア・ガーランド」を、日々の暮らしの中で、想像力や創造力、感性を刺激し、視点を変えてくれる「アートのたね」として紹介しています。お二人は、普段の生活の中でどのようにアートに親しみ、楽しんでいらっしゃいますか。

AB:MTVでエディターとして仕事をしているけれど、色々なソースを組み合わせる編集には、美的な選択もあり、クリエイティブなプロセスだと思うんだ。

AG:エディターの仕事だけでなく自分の展覧会も準備しているのよね。

AB:そうだね、日記のように毎日描くようにしているよ。目にしたもの、起こったこと、誰かとの会話なんかを、“doodle”(いたずら描き)しているんだ。もちろん展覧会もみにいくよ。ロンドンにはアートギャラリーがたくさんあるからね。

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ペースや世界観を大事にしながら「アンドレア・ガーランド」の良質な製品を作り続けるアンドレア。仕事をリセットし、生き方を見直したことを伺って、がつがつしないそのスタンスに納得がいきました。
世界各地で販売されている製品を、未だに3人体制で手作りし続けいてるとのお話に思わずライフワークバランスが気になったのですが、しっかり働くからこそ、毎週末を家族や友人達と大事に過ごして、仕事とプライベートのめりはりを意識的につけるようにしているとのこと。アンドレアとアンドリューのお二人から、忙しい時にはリストを作ってこなすといいよとアドバイスいただき、もはや親近感しか感じません。
今回ご紹介出来ないものの、今年の秋冬についてもヴィンテージ好きな二人だからこそのパッケージデザインとなっています(・・・出来ればみせたい・・・)。日常を特別な瞬間に変えてくれる「アンドレア・ガーランド」。製品、デザインも含め今後の展開から目が離せません。どうかお見逃しなく。 

 

参考 

アンドレア・ガーランド公式サイト:https://www.andreagarland.co.uk/
アンドリュー・J・バートン公式サイト:http://www.andrewjbourton.com/

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