「奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2014 [はならぁと こあ]」 CURATORS TV

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「奈良・町家の芸術祭 はならぁと 2014 [はならぁと こあ]」のギャラリートーク

スピーカー

山中俊広, 衣川泰典, 河内晋平, 窪山洋子, 森山牧子, 村田典子

会場

奈良県内

会期

2014年11月7日~11月16日

展示について

今年の「はならぁとこあ」は、郡山城下町、奈良きたまち、生駒宝山寺参道の奈良県北部3エリア4会場にて開催いたします。今年の4会場は、大正から昭和初期にかけて建造され、それぞれ遊郭、住居、工場、旅館の用途で使われていた、地元の歴史と縁が深く結びついている建物です。これらの個性豊かな会場で、現代アートの領域で実績を重ね、奈良にゆかりのある4組5名のキュレーターが、総勢約30組のアーティストと共に、奈良の地域性への新たな視点やその糸口を、現代アートの手法と思考によって導いた展覧会の形式にて表現します。奈良の個性や魅力をただ一方向的に提示することが、「はならぁとこあ」における現代アートの役割ではありません。いつの時代も、多くの人々の関与の下で過去と現在の価値観の拮抗を重ねることにより、常に私たちの歴史と文化は熟成されてきた経緯があります。その例に違わず、これまで奈良の土地が蓄積してきた数多くの歴史と文化も、その価値を変化させながら現代に受け継がれています。さらに私たちの生きる現代は、社会のシステムの多様化によって膨大な価値観が混在する時代です。「はならぁとこあ」は、これら多数の選択肢の存在を示唆させ、かつ今昔へと思考を巡らせる橋渡しとなることで、今にふさわしい奈良の印象を見い出していただく機会になるはずと信じています。今年の「はならぁとこあ」は会場間の連携を強化し、エリア間を周遊してじっくり楽しんでいただくための連携企画を複数用意しています。現代アートの展覧会と共に、会場周辺のまちなみも合わせて散策していただくことで、奈良の過去と現在、歴史と文化のみならず、日常の生活にも通底する新たな思考と気づきを持ち帰っていただければ幸いです。○各会場展覧会概要《工場跡》 在り処をみる岩名 泰岳、衣川 泰典、松井 沙都子現在という常に更新する時間には、さまざまな過去の記憶が積み重なっていきます。日頃の生活の上では、眼にとまらない些細な風景にもさまざまなひとの記憶が宿っています。あたり前に過ごす日常生活のなかでは気付かない風景もあります。悲しい事ですが、記憶が蓄積された些細な風景というものを失うことでしか気付かないことも現実的にあるかと思います。しかし、「失う」という大きな代償はひとの心に大きな穴をあけ、私たちの心や感性に渇きを与えることに?がるかもしれません。ここ奈良きたまちにおいて、古代から近世としての「過去/歴史」と近代から続く「現在/現代」をつなぐ象徴的な場所である「工場跡」を舞台に、3名の作家の作品を展示します。些細な日常の風景や私たち自身を俯瞰的に見つめ直し、独自の解釈や表現でひととして失いつつある精神性に光をあてます。それによって、さまざまな記憶の重層としてある現在の風景に、私たちの心の中にある原風景を見いだす機会になればと願います。《旧川本邸》 メモリフラグメント ー追憶の追走ー大坪 晶、西尾 美也、平澤 賢治、Re:planter郡山城下町エリアは、キュレーター2人にとって高校3年間を過ごした思い出の場所でもあります。今回私たちは「記憶域上で生じる隙間(メモリフラグメント)」をテーマに、大正13年に建てられ、今もなお上流花街の面影を色濃く残す遊郭建築「旧川本邸」を舞台に展覧会を開催します。「記憶」とは何か。本展では、街や人が持つ固有の記憶を素材に、アプローチの異なる4名の作家が、この大きな問いに挑みます。過去・現在・未来、または自己と他者との「記憶の隙間」。それぞれの持つ「隙間」を作品や空間で表現する中で、その問いの答えを探っていきます。また、旧川本邸は格式高い機能的な遊郭建築で、建物自体にとても魅力があります。その特徴を活かし、展示順路を設けて会場を巡る構成にしました。会場内では、次々と作家が表現する「記憶の隙間」が現れ、行き来しながら様々な記憶が交錯し合うことでしょう。これらが来場者の持つ記憶に揺さぶりをかけることで、「記憶」について考える一助となればと思います。《南大工町の家》 すます/見えてくるもの 聞こえてくるもの 今村 遼佑南大工町の家は、すぐ近くのガソリンスタンドで働く人とその家族が暮らす寮であった。その世帯それぞれの営みがあったことだろう。しかし残念ながらこの家は20年近く住人をもたず、以来歴史は止まったままである。中庭の二本の木だけが陽の光を浴びて、明るく悲しく輝いている。もともと定住者を持つことを目的としない、そして無人になってからは、誰からの思い入れも感慨も得られないかのように過ぎていったこの家のニュートラルな存在を逆に特徴として、荒れたホワイトキューブととらえたい。現代美術にぴったりの場所。ようこそ今村遼佑さん、束の間の新たな住人。かつてこの家が、異なる家族を受け入れてきたように、あなたもやさしく迎え入れられることだろう。そして皆さんも、腰を落ち着けて、目と耳を澄ましてください。私たちの感覚は徐々に研ぎ澄まされ、沈黙していたかに思えたこの家の、ノイズと密度の高さに気づくだろう。《旧たき万旅館》 Creator Creature Gathering Festivalはまぐちさくらこ、トーチカ、栗田 咲子、谷澤 紗和子、佐伯 慎亮、大井戸 猩猩、いくしゅん、高木 薫、谷原 菜摘子、Rick Potts、木村 まさよ with 月眠、石上 和也、坂口 卓也、竹内 カロン、カガマサフミ、シモーヌ深雪、佐伯 真有美、PIKA☆、ぺーどろりーの/ひのあゆみ古今東西、表現者は有象無象の創造主であり、彼らが生み出す作品は創造主の意図を離れ、それぞれに個性を持つ怪物といえるでしょう。彼らは常に世間を騒がせながら、文化芸術を前進させてきました。会場の宝山寺参道は、日本二大聖天の一つ生駒聖天として長く信仰が息づく地であり、風水でも生駒山は龍が走るとも言います。また参道は少し前まで関西の奥座敷として隆盛を極めたという、幾重にも重なる独特の「気」に満ちた場所であり、さらには会場の旧旅館も増改築を重ね、入り組んだ構造の混沌空間となっています。「はならぁと」という縁でこの特別な場に怪物達が召還され、10日間の百鬼夜行の異界を創出します。この非日常の異界で人と怪物達は出会い交わり、その化学反応は体験者の価値観を揺るがすかもしれません。 また生駒は魅力的な住宅地というイメージがありますが、最近は若手アーティストが移住して新しいコミュニティが生まれています。新旧の生駒の魅力を併せてご紹介できればと思います。

スピーカーについて

【アートディレクター プロフィール】 山中 俊広 【インディペンデント・キュレーター】1975年大阪生まれ。大阪府立大学経済学部卒業、大阪芸術大学大学院芸術文化研究科修士課程修了。大阪芸術大学博物館学芸員、現代美術ギャラリーなどの勤務を経て、2012年よりフリーランスとして活動を開始。関西を拠点に現代美術に特化した展覧会やイベントの企画、美術評論の執筆をおこなう。2013年に大阪市此花区にギャラリースペース「the three konohana」をオープンし、ギャラリストの立場でも各種企画をおこなう。2013年より「飛鳥アートヴィレッジ」プログラム・コーディネーター。2014年より大阪芸術大学芸術計画学科非常勤講師。 【はならぁと こあ キュレーター プロフィール】《工場跡》衣川 泰典 【アーティスト】1978年京都生まれ。京都精華大学大学院芸術研究科造形専攻修了。主な個展に、「スクラップブックのような絵画」AIR南山城村(京都、2013)、「僕達の記憶 スクラップブックのような」LIXILギャラリー GALLERY2(東京、2012)、「束の間の私達」neutron tokyo(東京、2010)、「みえないものにふれてみる」neutron kyoto(京都、2010)。主なグループ展に、「KAMIKOANIプロジェクト秋田」旧沖田面小学校(秋田、2014、2013)、「溶ける魚-つづきの現実」京都精華大学ギャラリーフロール、Gallery PARC(京都、2013)、「第14回岡本太郎現代芸術賞展」川崎市岡本太郎美術館(神奈川、2011)、「奈良・町家の芸術祭 HANARART」今井エリア出合町家(奈良、2011)、「ふれて/みる」中京大学Cスクエア(愛知、2010)。衣川 泰典 ホームページ:http://www.kinukawayasunori.com/ 《旧川本邸》K+ [けいたす]1981年生まれの郡山高校の同級生コンビで結成されたキュレーションユニット。同世代の表現者を中心にサイトスペシフィックな展示計画を行なう。河内 晋平 【(株)studio仕組代表取締役、東京芸術大学研究員】奈良県吉野郡の刀鍛冶15代河内守国助の家に生まれる。奈良県立郡山高校出身。東京芸術大学美術学部工芸科漆芸専攻卒業、同大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。2009年より約3年間、東京国立博物館アソシエイトフェローとして勤務。2011年より職人やアーティストの支援、映像演出、空間デザイン、グラフィックデザイン等を行う株式会社studio仕組の代表取締役として、作品管理(アーカイブ業務)から展覧会プランニング、販売までをワンストップで行う会社を運営している。主な展覧会に、「SIDECORE」BA-TSU ART GALLERY(東京)、「松本瑠樹コレクションユートピアを求めて : ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム」(神奈川県立近代美術館など。2014年9月30日より世田谷美術館にて巡回予定)。また2011年より、研究者として東京芸術大学にて文化財のデジタルアーカイブについての調査研究を行う。studio 仕組 ホームページ : http://www.studio-shikumi.jp窪山 洋子 【BAB works 代表、Bloom Gallery ディレクター】福岡生まれ、奈良県立郡山高校出身。大学時代にフィールドワークで訪れた沖縄市(コザ)でアートプロジェクトや地域イベントに触れ、街と人との関わりに興味を持つ。一般企業に就職後、2007年に写真学校、2008年に京都造形芸術大学通信教育部に通い、学芸員資格を取得。2009年に大阪市淀川区にて「Bloom Gallery」をオープンさせ今に至る。ギャラリーでは写真を軸とする企画展やワークショプ等を多数開催。また、こどもを対象とした写真ワークショップをはじめ、「おおさかカンヴァス推進事業」(大阪、 2012)アートマネージャー、「水都大阪フェス2013」(大阪、2013)市民活動分野のコーディネーターなどを経験し、2014年より写真を軸に領域横断的なプロジェクトを行うBAB worksを設立。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市経済政策分野在学中。Bloom Gallery ホームページ : http://www.bloomgallery103.com/《南大工町の家》森山 牧子 【KYOTOGRAPHIE国際写真フェスティバル 事務局スタッフ】東京都生まれ。立教大学経済学部卒業。玉川大学通信教育部にて学芸員資格取得。パブリックアート、アートコーディネートの企画制作会社勤務などを経て、現在大阪府在住。2004-05年パリに1年間滞在。そこで現代アートに数多く触れ、帰国後、京都および大阪の現代アートギャラリーに勤務(2006-13)。現在は京都市内を会場に展開する写真フェスティバル、KYOTOGRAPHIE国際写真フェスティバルの事務局スタッフとして働く。また、フリーで現代アートの展覧会企画を行う。過去の企画に、「Abysses ダミアン・グゲンハイム写真展」GALLERY ANTENNA(京都、2014)、 「奈良・町家の芸術祭 HANARART」三輪の町家2軒のキュレーション(2012)、「閨秀2.0」思文閣会館内 CAVE(京都、2011)[樋口ヒロユキ(サブカルチャー・美術評論家)との共同企画]がある。KYOTOGRAPHIE ホームページ:http://www.kyotographie.jp/《旧たき万旅館》村田 典子 【FUKUGAN GALLERY ディレクター】1975年大阪生まれ。京都造形芸術大学洋画コース卒業。現在生駒市在住。コマーシャルギャラリー勤務1年を経て、1998年より大阪心斎橋にて「複眼GALLERY(現・FUKUGAN GALLERY)」をオープンさせ現在に至る。ギャラリーとアートフェアなどで現代美術の同世代を中心に紹介しながら、国内外の現代音楽や即興演奏などの複合イベントも多数開催。2010年に出産後は地域活動にも積極参加し、作品を紹介販売するだけでなく芸術を介してよりよい社会や生活をめざす、総合的な「表現」を模索している。FUKUGAN GALLERY ホームページ:http://www.fukugan.net/

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