「トーマス・デマンド展」 CURATORS TV

ARTLOGUE 編集部

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「トーマス・デマンド展」のギャラリートーク

スピーカー

長谷川祐子

会場

東京都現代美術館

会期

2012年5月19日~7月8日

展示について

トーマス・デマンド(1964年生まれ)は、被写体となる状況を自ら制作して撮影する構成写真で知られる、ドイツ現代美術界を代表する作家の一人です。デマンドは主に政治的、社会的事件が起きた現場の風景を、写真をもとに厚紙で精巧に再現し、それを撮影します。 ちらりと浴槽がのぞくバスルームやがらんとしたコピーショップ、エスカレーターなど、ごく普通の 日常の風景が切り取られた世界。それらは一見本物と見紛うものの、よく見るとその空間を占める均一な質感によって、見る者は奇妙な違和感におそわれます。わけありの場面、日常の背後にある心理的な風景を、デマンドは静かに、ぞくぞくさせるような形で私たちの目の前に見せて くれます。 本展は、初期作品から映像作品を含む新作まで、デマンドの活動を本格的に紹介する、日本の美術館では初めての個展となります。 【本展の見どころ】 ①待望の日本の美術館での初個展 構成写真の第一人者として国際的に高く評価され、ニューヨーク近代美術館をはじめとして世界の主要な美術館で個展を多数開催してきたトーマス・デマンド。しかし、これまで日本での紹介は非常に限られたものでした。今回、初期作品から最新作までデマンド作品の全貌を大々的に紹介する、日本の美術館における待望の初個展です。 ②現実か?虚構か?紙で精巧に作られた世界 学生時代に彫刻を学んだデマンドは、政治的、社会的事件が起きた現場の風景を、新聞等の写真をもとに厚紙でほぼ原寸大に再現します。それを撮影した彼の写真作品のほとんどが、見る者を圧倒するような大画面です。無機質で空虚感をも感じさせる紙の世界は、イメージが氾濫する現代社会に生きるわたしたちに現実とは何かと問いかけます。 ③映像作品の代表作を一挙紹介 紙で作られた物たちが、劇中でどこかぎこちなく、奇妙に動く様は、これまで見たことがない独特な映像世界を生み出します。そこでは作品のもつフィクション性がより一層強調され、デマンド作品の心髄に触れることができるでしょう。 ④最新の映像作品《パシフィック・サン》を本邦初公開 2008年、太平洋航海中に大嵐に襲われた豪華客船パシフィック・サン号。大きく揺れる船内の様子をとらえた衝撃映像は事故の2年後にインターネットで公開され、話題となりました。今回、デマンドはその映像をモチーフにした最新作を世界の美術館で初めて発表します。

アーティストについて

トーマス・デマンド 1964 ドイツ、ミュンヘンに生まれる 1987-90 ミュンヘン美術アカデミーでインテリアデザインを学ぶ 1990-92 デュッセルドルフ芸術アカデミーで彫刻を学ぶ 1993-94 ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで学ぶ 2003 第50回ヴェネツィア・ビエンナーレに参加 2004 第26回サンパウロ・ビエンナーレ、ドイツ館にて個展を開催 2005 ニューヨーク近代美術館にて個展。東京国立近代美術館で開催された「ドイツ写真の現在-かわりゆく「現実」と向かいあうために」展(2006年、京都国立近代美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に巡回)に参加 2006 サーペンタイン・ギャラリー(ロンドン)にて個展 2009 ベルリン新国立美術館にて個展 2010 第12回ヴェネツィア国際建築展にロンドンの建築事務所、カルソ・セント・ジョンとともに参加 2010-2011 ゲッティ研究所(ロサンゼルス)にゲッティ研究員として滞在 現在まで世界各地の主要美術館での個展やグループ展多数。ロサンゼルスとベルリンに在住

スピーカーについて

長谷川祐子(はせがわ・ゆうこ) 批評を基幹に据える国際派キュレーター。東京都現代美術館 チーフキュレーター。京都大学法学部卒業、東京芸術大学大学院修了後、水戸芸術館、世田谷美術館勤務、ホイットニー美術館研修などを経て、1999年より金沢21世紀美術館の立ち上げに参加、建築、コレクションなどをデイレクションする。オープニング展『21世紀の出会い̶共鳴、ここ・か ら』、『Matthew Barney:Drawing Restraint9』などを企画。 また2001年イスタンブールビエンナーレ総合コミッショナー、 2002年上海ビエンナーレ、2005年メデイアシテイ・ソウル、2010年サンパウロ・ビエンナーレの共同キュレーター、第12回ヴェニス建築ビエンナーレ アーティスティック・アドバイザー、2013年第11回シャルジャ・ビエンナーレ、キュレーターを務める。東京都現代美術館にて『東京アートミーティング』という他のジャンルの専門家と共同企画を進行中。2011年はSANAAと『東京アートミーティング(第2回) これからの建築空間―建築、アート、人々の新しい環境』を開催。2006年より現職。多摩美術大学特任教授。学生ゼミとしてcuratorial practice in the urban environment(CPUE)を都内各所で展開する。 著書「おんなの子のための現代アート入門」(淡交社)「「なぜ?」から始める現代アート」(NHK出版新書)