アートダイエットin佐久島

羽田沙織

羽田沙織

佐久島

愛知県にアートの島があることをご存じですか?
三河湾のほぼ真ん中に位置し、人口は252人、信号もコンビニもない小さな島です。
佐久島がアートの島になったのはおよそ20年前。現在では島に21個の作品が点在していて、四季折々自然豊かな景観と共に楽しむことができます。

名古屋から電車でおよそ1時間。西尾駅からバスに揺られて30分で一色港に到着。
一色港からは船に乗っておよそ20分で佐久島に到着です。

アートの島 佐久島でのアートダイエットコースは、何歩になるでしょうか。今回は佐久島の東港からスタートです♪


作品は島の豊かな自然を感じるための装置!


まず、最初のアート作品まではおよそ10分で到着。

木村崇人《かもめの駐車場》2005
上下とも木村崇人《かもめの駐車場》2005

木村崇人《かもめの駐車場》2005

風を見るための作品です。

このカモメのオブジェは、風が吹くと、あたかも本物のカモメのように一斉に同じ方向を向きます。
島の人々の暮らしは風と共にあります。ビルは1つもないのでどこにいても海風が通り抜けるし、風が強ければ船も出ません。
そんな佐久島の生活にとって重要な風を、視覚的に見て体感することができる作品です。
現在では、芸術祭でも引っ張りだこの木村崇人さんの作品ですが、野外作品を制作したのは佐久島の《カモメの駐車場》が初めてだそうです。

どこを歩いても美しい佐久島の道

佐久島でアートを見てまわる時に歩く道は、海が一望できる海沿いロードに、完全な山道、そして黒壁集落と呼ばれる昔ながらの家々が立ち並ぶ風情ある通り、更には、四季を通して様々な花が咲くフラワーロードなど、どこを歩いても絵になります。
海沿いロードを抜けると島の東西を結ぶフラワーロードへと続きます。

フラワーロード
フラワーロード
四季折々の花が足取りを軽やかにしてくれます
四季折々の花が足取りを軽やかにしてくれます
フラワーロード沿いには《クラインガルテン ウェルカムスペース》(松岡徹 2012)
フラワーロード沿いには《クラインガルテン ウェルカムスペース》(松岡徹 2012)


更に、フラワーロードから山道へ。山道を歩くことおよそ5分。山の景色に見事に溶け込むように存在するのが青木野枝さんの《空の水―山》。 

森の中に完全に同化している《空の水−山》(青木野枝 2008)
森の中に完全に同化している《空の水−山》(青木野枝 2008)
作品の合間からこぼれる木漏れ日が美しい
作品の合間からこぼれる木漏れ日が美しい

鉄で作られたオブジェは時間をかけて錆びていき、ますます木々や大地と同化していきます。作品の中に入って上を見上げると、木漏れ日と作品の丸く開いた穴とがマッチして不思議な光景を作り出していました。

ここまで3089歩。  

 

黒壁集落
黒壁集落
歴史を感じる黒壁の家々
歴史を感じる黒壁の家々

佐久島の西側には、黒壁集落と呼ばれるエリアがあります。
昔、島では、潮風から建物を守るためにコールタールという黒い塗料を塗っていたのだそうです。この佐久島独特の黒壁の家並みを残す活動が今も行われ、この一角は黒壁集落として昔ながらの景観を今に伝えています。 

お庭は年中無休で見学可能
お庭は年中無休で見学可能

その中の1軒は築100年の古民家。現在はまるごとアート作品として建物の中に入ることもできます。 

 

松岡徹《大和屋観音》2003
松岡徹《大和屋観音》2003

黒壁集落には《大和屋観音》という観音さまも。現在は閉店した雑貨屋の大和屋跡地で人々を見守っています。「佐久島に昔から住んでいて、子供たちを見守っている」想像世界の観音さまです。松岡徹さんの作品は、この他にも様々な場所から島を静かに見守っています。 

松岡徹《海神さま》2003
松岡徹《海神さま》2003

 

人気の作品は平日がオススメ 

 

上下とも南川祐輝《おひるねハウス》2004(2013年再制作)
上下とも南川祐輝《おひるねハウス》2004(2013年再制作)

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続いて、佐久島で1番人気との呼び声も高い《おひるねハウス》へ。
ここに来ると、年々島を訪れる観光客が増えていることを実感します。
佐久島のアート作品の中でもインスタ映えすると大人気で、週末は写真撮影のために行列ができることもあるそうです。
写真撮影も作品の楽しみ方のひとつですが、この作品は名前の通り、ボックスの中に入って海を眺めたり、お昼寝したりしながらのんびり過ごすのがオススメ。ボックスの中は潮風が通り抜け、磯の香りやリズミカルな波の音に包まれながら、まるで額縁に入れたような景色を贅沢に独り占めできます。
ここでのんびりお昼寝したいという方は平日にお出かけください。
ここまでの歩数は6418歩。

島の西の玄関口である西港まで歩き、ここからは海岸線沿いの通りをぐるりとまわります。
島の外周の通りは、週末でも人が少ないので、ウォーキングやランニングにオススメです。
およそ2万5千年前の美しい地層も随所に見ることができます。
 

青空と青い海がどこまでも続く一本道
青空と青い海がどこまでも続く一本道
2万5千年前の地層
2万5千年前の地層
TAB《北のリボン》2015
TAB《北のリボン》2015
冬の晴れた日の朝にはここから富士山が見えることも
冬の晴れた日の朝にはここから富士山が見えることも

途中、作品もチェックしながら東港へと戻ると、なんと既に1万歩達成!13879歩でした。

最後に島の東端にある大島へ。 

松岡徹《佐久島のお庭》2006~2009
松岡徹《佐久島のお庭》2006~2009
海神さまの分身
海神さまの分身

佐久島がアートの島として整備されるまでは、人がほとんど立ち入ることのない荒れた場所だったそうです。そこに松岡徹さんが《佐久島のお庭》を3期にわけて制作されました。
タイルを敷き詰めた小道が完成すると、島の人々が自主的に梅を植え、今では佐久島に春の訪れを告げる梅園目当てに島を訪れる人も多くいます。
紅白の梅を楽しんだ後は、実を収穫し、梅干しを作って島のイベントなどで販売することもあるのだとか。
佐久島のアート作品を見ていると、島で暮らす人々が様々な形で参加することで作品が完成している気がします。島の人々の生活に寄り添い、人々と一緒に変化していくアート。そこには島の暮らしを愛する人々の想い、脈々と受け継がれてきた島の伝統や歴史を感じることができます。

最後に、本日のご褒美スイーツを、「カフェ百一」で頂きました。 

黒壁の古民家を改装した「カフェ百一」
黒壁の古民家を改装した「カフェ百一」
「カフェ百一」店内
「カフェ百一」店内
チーズケートとカフェオレ
チーズケートとカフェオレ

海が見える高台の古民家を改装した新しいカフェ。
縁側に座ってくつろぐのも良し、ジャズが流れる店内で海を見ながら自家焙煎の珈琲を頂くのも良し。贅沢なカフェタイムです。
この日はチーズケーキセット(800円)を頂きました。

本日のアートダイエット総歩数は17675歩。総消費カロリーは523キロカロリーでした。
たくさん歩いたのに、全く疲れを感じることがなかったのは、心地よい島風と島時間のおかげかもしれません。
日帰りでも十分島をまるごと満喫できるので、アートダイエットin佐久島、是非お試しください。 

おひるねハウスに入って写真を撮ればインスタ映え必至!
おひるねハウスに入って写真を撮ればインスタ映え必至!

 

アートダイエットin佐久島に合わせて聴きたい1曲♪  

Afterglow/Asgeir
今回佐久島に向かう船からの景色は、少し朝の靄がかかって幻想的でした。夏には太陽が沈まない白夜、冬には太陽が昇らない極夜がある不思議な国アイスランドが生んだAsgeir(アウスゲイル)の歌声は、空気の澄んだ朝時間にぴったりです。
今年リリースされたニューアルバム「Afterglow」からの1曲、合わせてどうぞ。


参考 

佐久島公式HP:http://sakushima.com/
※大葉邸の室内展示鑑賞には弁天サロン(http://sakushima.com/guides/benten-salon/)で鍵を借りる必要あり。
弁天サロン:開館時間 9:00~17:00
                         休館日 毎週月曜日
                      (年末年始の休館等、その他詳細については上記URLをご確認ください)

カフェ百一:営業時間 9:00~18:00 
      定休日 不定休
      ブログ:http://hyakuichi.exblog.jp/

羽田沙織

元NHK宇都宮局キャスター/元ZIP-FMミュージックナビゲーター。 現在は、フリーアナウンサーをしながら、アートエバンジェリストとして、アートイベントの企画・開催・案内を行っています。 ヒューマンアカデミーで『名古屋アートサプリウォーク』の講師も担当。 講座では、1日1万歩歩くことを目標に美術館やギャラリー、パブリックアートを見てまわっています。