ミシュラングルメは美術館で ! 心も味覚も満足する美術館のレストラン ~フランス・パリ編~

井澤佐知子

井澤佐知子

%e3%82%b5%e3%83%a0%e3%83%8d%e3%82%a4%e3%83%ab


美術館は、美術を鑑賞するだけの場所と思っていませんか?例えば美術館にあるミュージーアムショップ。所蔵の作品をテーマにしたグッズが並び、一般的な書店よりも充実した美術関係の書籍が販売されています。有名なアーティストの作品をモチーフにしたアクセリーやファッショングッズも豊富で、他にはない個性的でお洒落なものが欲しい人にはおすすめのショッピングスペースでもあります。

そして何より注目してほしいのが、美術館に併設しているレストラン。観光客で混み合う観光都市の中で、美術館内にあるレストランは混み合うことも少なく落ち着いたまさに穴場。このスペースは今、星付シェフたちの注目の的になっています。

目もあやな美術品を堪能し、一流シェフの料理に舌鼓をうつ。そんな美術館が、世界中に広がりつつあります。

 

アートと美食の関係を牽引する国フランス


2018年に入って、実業界と美術界をびっくりさせたニュースがフランスから飛び込んできました。21世紀を代表するフランス料理界の雄ミシェル・ブラス ( Michel Bras,  1946~ ) が、「パリ商品取引所 ( Bourse du commerce ) 」に開館する現代美術館内のレストランの責任者として就任することが決まったのです。

ミシェル・ブラスはフランスのオーブラック地方ライオール村にあるミシュラン三ツ星レストランを備えたオーベルジュ「ミシェル・ブラス」のオーナー。自然からインスパイアされた目にも美しい料理を紡ぎ出す天才料理人です。野菜やハーブをふんだんに用いた「ガルグイユ(Gargouillou)」は彼の「スペシャリテ」の一つ。単なる野菜料理を越え、色合い、香り、味わい、盛り付けが渾然と溶け合った一皿は食べる人を魅了してやみません。

その他1981年に誕生したオリジナルデザート「クーラン(Coulant)」も、そのビスキュイ生地にナイフを入れると温かなチョコレートが流れ出し、添えられたアイスクリームと絡まり…絶品です。

 

商品取引所を美術館として開館するについては、スポンサーとなっているのはこれまたフランス実業界の御大フランソワ・ピノー ( Francois Pinault,  1936~ ) 。ピノーは、女優サルマ・ハエック(Salma Hayek,  1966~)の義理の父であり、歴史あるオークションハウス「クリスティーズ」のオーナーでもあります。

パリ商品取引所に開館する現代美術館は、ピノーの個人的なコレクションが展示される予定になっています。そして、この美術館の設計を担当しているのは、建築家・安藤忠雄(1941~)。安藤氏は、これまでもピノーが所有する建築物の改築をいくつか担当した仲です。ピノーが采配をふるう現代美術館の開館は、2019年初頭といわれていますが今から話題性は抜群です。

そのほかにも昨今のフランスでは、著名なシェフたちが美術館とコラボするケースが急増しているのです。

 

ヴェルサイユ宮殿にも「フォンダシオン・ルイ・ヴィトン」にも


フランス王家の栄光の象徴ヴェルサイユ宮殿には、史上最年少でミシュランの三つ星を取得したアラン・デュカス ( Alain Ducasse,  1956~ ) がカフェとビストロを兼ねた「オール ( Ore ) 」を開業。

Alain Ducasseさん(@alainducasse)がシェアした投稿 -

デュカスは、以前からヴェルサイユ宮殿の庭園で栽培する野菜を自らのレストランで使用しており、そんな縁からも宮殿内での開業となったもよう。

また、2014年にはそのアラン・デュカスの愛弟子であるジャン=ルイ・ノミコス (Jean-Louis Nomicos,  1967~) が、ルイ・ヴィトン財団が運営する美術館「フォンダシオン・ルイ・ヴィトン (Fondation Louis Vuitton)」内に「ル・フランク(Le Frank) 」というレストランをオープンしました。ルイ・ヴィトンの美術館は、建築界の「ノーベル賞」と呼ばれる「プリツカー賞」を受賞している鬼才フランク・オーウェン・ゲーリー(Frank Owen Gehry,  1929~)がパリ8区にある美術館兼展覧会場である「グラン・パレ(Grand Palais)」に着想を得て設計した斬新な建築物。その中にある「ル・フランク」では、美術館内の作品やルイ・ヴィトンの商品やテーマにインスパイアされたメニューを供する夕食会もよく開催されています。


最後に


一流シェフが美術館のレストランで腕を振るう、そんな動きはパリにとどまりません。フランス国内はいうまでもなく、世界各地の美術館内に質、雰囲気とも最高と評されるレストランがメディアに多数取り上げられており、今後はますますブームとなりそうです。 美術館で美術を楽しむだけではもったいない!次回はフランスのパリ以外の地域の動きをご紹介します。

井澤佐知子

イタリアの片田舎で、本に埋もれてニュースを発信中。書籍・雑誌の大散財が大好き。ローマを眼下に見下ろす小さな家で、風と鳥の羽音とチェロをBGMに仕事をしています。溺愛するのは、カルロ・クリヴェッリとピエロ・デッラ・フランチェスカ。 ブログ「ルネサンスのセレブたち」「イタ飯百珍」執筆中。