映画が描く『草の上の昼食』:アートをおしきせ 20180504

ARTLOGUE 編集部

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Édouard Manet [Public domain], via Wikimedia Commons

今日はみどりの日。

みどり…といえば思い出すのが、ジャン・ルノワール監督の『草の上の昼食』(1959)です。


原題は『Le Déjeuner sur l'herbe』。
エドゥアール・マネ(Édouard Manet, 1832~1883)の有名な絵画『草上の昼食』と同名です。

『草の上の昼食』の主人公は、人工授精で優秀な子孫を育もうという優生学的思想の下、欧州連合大統領選(初代大統領!)に臨もうとするエティエンヌ・アレクシ博士。
理論に基づいたビジョンの実現を目指し、大統領選に有利な政略結婚すら予定しているのですが、期せずして村娘ネネットと恋に落ちてしまいます。

理性的であろうとしながら、豊かな自然の中、本能に抗えず「生」を謳歌してしまう博士の姿はなんともコミカル。科学信奉をチクリと風刺するコメディです。

印象派の画家として日本でも人気の高いピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir, 1841~1919)を父に持つジャン・ルノワールは、1920~30年代のフランス映画を代表する映画監督の一人。

その映像の美しさ、作品に登場する人物たちの清濁合わせ飲む豊かな人間性の描写には定評があります。

彼の作品の多くは白黒ですが、色鮮やかなカラー作品は、さながら、父ルノワールの絵画のよう。
『草の上の昼食』にみられる色彩感覚に、血は争えないと感じ入ります。
実際、『陽光の中の裸婦』を思わせるシーンもあり、父へのオマージュともとれるシーンがいくつかみられます。

『草の上の昼食』は、現状みる機会にあまり恵まれていない作品ですが、ルノワール監督には他に、忘れられないピクニックの1日を描いた名作『ピクニック』(1936)があります。
こちらは白黒ながら、光と影、なびく風を捉えていて、色彩がなくても晴れた日の緑の豊かさが伝わる映像美が魅力です。

構図の美しさ、自然や人へのまなざしにルノワール監督らしさがあふれていて、こちらもおすすめの一作です。