国際芸術祭「あいち2025」の芸術監督と会期・会場が決定!

(左から)大林剛郎組織委員会会長、フール・アル・カシミ「あいち2025」芸術監督
© SEBASTIAN BÖTTCHER

国際芸術祭「あいち2025」の芸術監督が、フール・アル・カシミ(シャルジャ美術財団理事長兼ディレクター、国際ビエンナーレ協会(IBA)会長)に決定しました。「あいち」における国際芸術祭では、初めて海外から招く芸術監督となります。

アル・カシミは1980年生まれの43歳で、アラブ首長国連邦出身です。アラブ首長国連邦をはじめ中東、そして世界中のアートを繋ぐ支援者として、2009年にシャルジャ美術財団を設立し、現在は理事長兼ディレクターを務めています。 新たな試みやイノベーションの支援に情熱を注ぎ、国際巡回展をはじめ、レジデンス・プログラム、コミッション・ ワークや制作助成、パフォーマンスや映画のフェスティバル、建築物の調査や保存、幅広い年齢層に向けた教育プログラムまで、同財団の活動領域を広げてきました。

第6回シャルジャ・ビエンナーレ(2003)の共同キュレーターとなって以来、同ビエンナーレのディレクターを務め、2023年の第15回シャルジャ・ビエンナーレのキュレータ ーに就任。また、2017年には国際ビエンナーレ協会会長に選出されたほか、シャルジャの アフリカ・インスティテュート会長や建築トリエンナーレ会長兼ディレクターとしても活動。過去には MoMA PS1(ニューヨーク)やユーレンス現代美術センター(北京)などのボードメンバーも歴任している実力派です。

選考経緯として、 「あいち」の関係者等の推薦人である「あいち2022」の芸術監督で森美術館館長の片岡真実、国立国際美術館館長の島敦彦、インスティテュート・フォー・パブリック・ アート会長のルイス・ビッグス、サンパウロ州立美術館ピナコテカ館長のヨヘン・フォルツ、サンフランシスコ近代美術館キュレーターのウンジー・ジューらが推薦した複数名の候補者から、「あいち」組織委員会のアドバイザー会議において最終候補者を数名選定し、 最終的に組織委員会の大林剛郎会長(株式会社大林組 代表取締役会長)が決定しました。

アル・カシミは国際的なキュレーター、ディレクターとして豊富な経験と実績を有しており、国際水準の芸術祭が期待できること、また美術関係を中心とした世界的ネットワークを有しており、「あいち」のプレゼンスを高められること、そして、海外からの新たな視点による芸術祭が期待できることや、美術財団の理事長などを経験しており、適切かつ柔軟なディレクションが期待できることから選ばれました。

フール・アル・カシミ「あいち 2025」芸術監督

大林会長曰く「前回芸術監督を務めた片岡さんは愛知県出身ということもあり、愛知県をよく知った方でした。しかし、カシミさんは逆に愛知県を外から見て、愛知県の素晴らしさを発信していただくと同時に、持ち前の色々なネットワーク等々で色々な海外のアーティスト、そして海外の色々な芸術関連の方々に、ここ愛知来ていただいて、愛知の素晴らしい様々な文化や産業などを持ち帰っていただき、世界に発信して欲しいと考えています」

2002年に日本語を学び始め、日本に対して親近感を抱いているアル・カシミ芸術監督は「この機会に日本にできるだけ多く滞在して、日本の美術やアーティストを調査し、今回の芸術祭に反映したいと考えてます。現在私はシャルジャだけでなく、パキスタンやチュニジア、キューバといった芸術祭にも関わっており、普段から世界中のたくさんのアーティストと交流しています。

これまで経験を生かして世界中の素晴らしいアーティストたちを、今回の芸術祭でぜひ紹介したいと思っています。また地元のアーティストや学生と繋がる場を設け、一緒に芸術祭を作っていきたいと思います。

そしてこの機会に愛知を訪れる様々な人々に、愛知の歴史や文化、魅力を深く知って欲しいです。今回、私が初めて海外から就任する芸術監督と聞いていますが、これまでのあいちの芸術祭の様々なレガシーを受け継ぎながら、私らしい視点で新しいことをやってみたいと思います」と述べています。

また「あいち2025」は、2025年9月13日(土)から11月30日(日)までの79日間、愛知芸術文化センターを始め、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなかを主な会場として開催することを決定しました。

愛知芸術文化センター

愛知芸術文化センター

愛知県の文化芸術の拠点として、名古屋市の中心部に1992年開館した愛知芸術文化センター。国内外の20世紀美術を中心に充実した作品を所蔵する「愛知県美術館」、大ホール、コンサートホール、 小ホールなどを有する「愛知県芸術劇場」、アートスペース、アートライブラリー、アートプラザで構成される 「愛知県文化情報センター」からなる複合文化施設です。

愛知県陶磁美術館  

愛知県陶磁美術館  

日本を代表する窯業地・瀬戸に「愛知県陶磁資料館」として1978年開館。2013年に名称を変更し、「愛知県陶磁美術館」として新たなスタートを切りました。 緑あふれる広大な敷地内に、充実した2つの展示施設「本館」「南館」、作陶体験施設「陶芸館」、古窯跡を公開する「古窯館」などがあり、様々な角度からやきものにアプローチするやきもの専門ミュージアムです。 2025年4月、改修工事を経てリニューアルオープン予定となっています。

瀬戸市

瀬戸市

名古屋市中心部から北東約20kmに位置し、周囲を小高い山々に囲まれ、千年以上のやきものの歴史を有する人口約13万人の市。良質で豊富な陶土に恵まれたこの地で、先人たちは新しい技術や文化を柔軟に取り入れ、陶都として発展させたことから、やきものの代名詞「せともの(瀬戸物)」の語源ともなりました。 2017年には日本六古窯(瀬戸・常滑・越前・信楽・丹波・備前)として日本遺産に認定され、現在でも多くの陶芸作家やツクリテが市内の窯元や工房などで、日々新たな作品を生み出しています。窯道具で組まれた窯垣や陶器でできた橋の欄干など、やきもののまちならではの風情が随所に見られます。

アル・カシミ芸術監督は、「瀬戸市で国際芸術祭「あいち」を開催できることを、とても嬉しく思います。日本を代表する古くからの窯業地である瀬戸市で、様々な場所や建物を訪れる機会に恵まれました。愛知県陶磁美術館の印象深いコレクションに加え、設計者谷口吉郎による象徴的な建物自体との対話も楽しみです。多様な表現方法で活躍する国内外のアーティストを招き、名古屋と瀬戸それぞれの歴史といまに向き合いたいと考えています」と語りました。

■国際芸術祭「あいち2025」

会期:2025年9月13日(土)~11月30日(日)(79日間)

主な会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

国際芸術祭「あいち」 (aichitriennale.jp)

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