カッコいい日本人:抜群のセンスでサウンドをハックするYuri Suzuki

カッコいい日本人:抜群のセンスでサウンドをハックするYuri Suzuki

世界で活躍するクリエイティブな日本人アーティストを知ろう。カッコいい日本人の存在は、本当の意味でのクールジャパンとして、わたしたちに勇気を与えてくれるはず。

今回は、世界を驚かすインタラクティブなサウンドアートを発表し続ける、Yuri Suzuki(鈴木有理)のプロジェクトをいくつかご紹介。
Yuri Suzuki(鈴木有理)は1980年生まれ。アートユニット「明和電機」のアシスタントを5年間務めた後に渡英し、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート (RCA)のデザインプロダクト学科に入学。現在は、RCAのインフォメーション・エクスペリエンス・デザイン学科で教鞭をとりながら、「音楽とテクノロジー」をテーマにサウンドアーティスト、プロダクトデザイナーとして世界的に活躍中。

各種メディアで話題となった「Ishin-Den-Shin

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 Yuri Suzukiの名前を初めて知ったのが、この2013年に発表された「Ishin-Den-Shin」。Yuriさんが、ディズニー・リサーチのアソシエイト・メンバーとして、オリヴィエ・バウ(Olivier Bau)、イヴァン・プピレフ(Ivan Poupyrev)と共同開発したものです。「ディズニーがこんなことを研究しているのか?」と、当時メディアで広く話題となったので、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。音情報を電気情報に変換し、耳を力学的に震わせることで音を伝達する仕組みで、骨伝導ではないので、人が手をつなぐことで音を伝達させることが可能です。 

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何でもシンセ「OTOTO 

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 OTOTOは、身の回りにあるものを何でも楽器に変えてしまう電子工作プラットホーム。2013年にKickstarterを通じてクラウドファンディングを行い開発されました。ワニグチクリップを使い、12個の鍵盤の端子から電動性のある素材に繋ぎ、接続された素材を触るとOTOTOから音が鳴ります。果物や植物、水の入ったコップ、鍋やヤカンなど、電気を通すものが、何でもシンセサイザーへと変わります。OTOTOの開発のきっかけは、Yuriさんがプログラミングが苦手なことにあったそうです。 

子ども大はしゃぎ。ガーデン・オブ・ルッソロ

 ガーデン・オブ・ルッソロ(Garden of Russolo)は、ホーンに向かって声を発すると、予想に反した音声フィードバックが返ってくるインタラクティブ・サウンド装置。声や音が逆再生されたり、歪んで雑音のようになったり、普通の声がメロディを帯びたりします。ハンドルが付いているものは、回す速度に応じて音の速さが変化します。動画にあるように、子どもたちのリアクションがすごく面白い。 

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 このプロジェクトは、20世紀初めのイタリアの前衛芸術運動「未来派」のアーティスト、ルイージ・ルッソロ(Luigi Russolo, 18851947)の『騒音芸術』にインスパイアされたもの。ルッソロが発明した騒音楽器「イントナルモーリ」を模したプロダクトデザインがユニークです。 

色と線を読み音を奏でる

 ルックス・ライク・ミュージック (Looks Like Music) は、「カラー・チェイサー (Colour Chaser)」というオリジナルプロダクトを使ったインスタレーション。カラー・チェイサーは、黒い線を検出して走るミニチュアロボットで、楽譜ではなく、軌道に描かれた色や図形を読み取ることで音を奏でるもの。もともとはディスレクシア(難読症)の人のためにデザインされたものですが、障害の有無に関わらず、誰もが楽しく参加できるインスタレーションとして公開されました。Yuriさん自身もディスレクシアで、楽譜が読めないというハンディキャップがあることが発想の背景にありそうです。

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 前述のOTOTOとカラー・チェイサーは、2014年にMoMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションに選出されています。

 

柔らかいユーモア

 スワロフスキーのためのクリスタルベルを使ったサウンドインスタレーションや、OK Goといったミュージシャンとのコラボレーションなど、Yuri Suzuki Design Studioとしてのカンパニークリエティブも精力的に行っています。

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© Rima Musa

説明なしに直感的に体験することで感じるメッセージ。それがYuri Suzukiのプロダクトやインスタレーションが持つ魅力であり、彼の作品に子どもたちが大喜びする理由でしょう。それに、明和電機とも一味違う、どこかトボけた感じの柔らかいユーモアをまとっていることが、作品をチャーミングにアピールしていると感じます。

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