「高嶺格:とおくてよくみえない」 CURATORS TV

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「高嶺格:とおくてよくみえない」のギャラリートーク

スピーカー

木村絵理子

会場

横浜美術館

会期

2011年1月21日~3月20日

展示について

「とおくてよくみえない」というテーマの下、物理的な距離を超えて、個々人の間での価値観の相違や、国家間の歴史や政治的な要因により生じる認識のずれや誤解、さらには美術館や展覧会という制度と観客の関係性など、多種多様なレベルにおけるコミュニケーションの問題(=距離)を着眼点に、複数の新作を含む全14件を紹介した。作家にとって初の巡回展であった本展は、形を変えながら展開する特異かつ挑戦的な展覧会でもあった。複数の新作や大がかりなインスタレーションを実現するため、展覧会に先立ち2010年12月から横浜で約2ヶ月間の滞在制作。翌年、横浜美術館で幕を開けるも、会期終盤、東日本大震災の影響により一時閉館、同館史上最短の会期で閉じることを余儀なくされた。その後、広島市現代美術館への巡回中、バーミンガムのIKON Galleryでも英文の同名「Too Far To See」と題して映像作品を中心にした個展が同時期に開催された。国内の展示は続いて鹿児島県霧島アートの森へと巡回し、会場の特性に合わせて大きく出品内容を再構成。唯一全会場で共有された公式カタログは、同書に収録された作家の言葉「全体なんていうものが存在するのか?それは見えるのか?」というテーゼを体現するように、ドキュメンタリーや出品作品の解説などにより展覧会の全体像を捉えようとするのではなく、作家の着想の源を探るインタビューと作家論を中心に構成された。(展覧会ウェブサイト http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2010/toofartosee/ )

アーティストについて

高嶺格(たかみね・ただす)1968年鹿児島生まれ。京都市立芸術大学で漆工を学んだのち、アーティストグループ“ダムタイプ”の活動に参加する。その後、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミーで学び、この頃より幅広いメディアを用いた表現を開始する。現在はインスタレーションや映像、写真、パフォーマンス等、多彩なアプローチのもと作品制作を行う。自身の身体や経験を基軸にしつつ、民族や性、自己と他 者など様々な問題と関わる中、新たな関係性や未来を切り開いていくプロセスが作品として表される。舞台作品の制作・演出、コラボレーションも多数手がける。主な作品に、身体障害者への性介護の経験を通して生まれたパフォーマンス「木村さん」(1998)、マンガン採掘場跡の洞窟でのプロジェクト「在日の恋人」(丹波マンガン記念館、2003)、視覚障害者に案内されて鑑賞する「[大きな休息]明日のためのガーデニング1095㎡」展(せんだいメディアテーク、2008)、次世代のエネルギー問題に着目した「スーパーキャパシターズ」展(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2009)、カタログ販売化した住宅事情への問題提起「Good House, Nice Body 〜いい家・よい体」展(金沢21世紀美術館、2010)、「とおくてよくみえない」展(横浜美術館、広島市現代美術館、鹿児島県霧島アートの森、IKON Gallery、2011)など。(作家ウェブサイト http://www.takaminet.com/ )

スピーカーについて

木村絵理子(きむら・えりこ)横浜美術館 主任学芸員2000年より同館学芸員として勤務。現代美術の展覧会を中心に企画。最近の主な企画展に、グループ展「GOTH –ゴス–」(2007-08/肉体的生と身体に対する執着を現代美術におけるゴスと捉え、内外のアーティスト6組を紹介した)。約5か月におよぶ美術館での滞在制作により実現した「金氏徹平:溶け出す都市、空白の森」展(2009)。「GOTH」展以来、作家と共有した世代観と世代間格差の問題をテーマにした「束芋:断面の世代」展(2009-10、国立国際美術館へ巡回)。このほか、ゲスト・キュレーターとして館外の企画に携わることや、美術雑誌等での執筆、大学やシンポジウムへの出講など。2005年の横浜トリエンナーレではキュラトリアル・チームに加わる。高嶺格との仕事は、《鹿児島エスペラント》を出品した横浜トリエンナーレの他、アシスタント・キュレーターとして関わった「ノンセクト・ラディカル:現代の写真III」(2004/高嶺の《木村さん》を展示紹介しようとするも叶わず、パフォーマンスを実施)、「4人が創る『わたしの美術館』展」(2008/コレクションからの出品)など、規模の大小を問わずすでに4回におよぶ。本展では、横浜展のキュレーションに加えて、霧島会場のコーディネーターも務めた。

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