「小川待子 ー 生まれたての<うつわ>」 CURATORS TV

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「小川待子 ー 生まれたての<うつわ>」のギャラリートーク

スピーカー

天野一夫

会場

豊田市美術館

会期

2011年9月17日~12月25日

展示について

詩がかたちを持つとしたら、このようなすがたをしているのではないか。小川待子のとは、これまでも様々な人々に豊かな想像力を喚起させてきました。 小川待子は1946年、札幌に生まれ、東京芸術大学工芸科を卒業後、パリでの留学時に鉱物の美しさに衝撃を受け「かたちはすでに在る」という、素材から立ち上げる原型的な考えに結びつきます。そしてその後の西アフリカでの制作の経験は、他の日本の作家とは異なる独自のスタンスでの陶芸制作にとって決定的なものとなりました。人が何かをすくい取り、水などをたたえておくもの、そして大地から生成し大地に帰ってゆく存在。そのは収縮と拡散のぎりぎりの均衡のなかで、あえて亀裂を見せながらも、その内部に透明な釉薬を輝かせています。その中に包まれ、隠し、たたえる場は、華美で洗練されたこの国の「伝統的な」工芸を超えて、造型としての原型体をわれわれに示しています。その造型とは、人の作るものの原始的な創生を想起させるとともに、永遠の詩的存在としても見ることが出来ます。本展覧会は、小川のこれまでの代表的な作品と新作インスタレーション等約57点によって、その特筆すべき作品を見つめるとともに、作家の画期となるような展観の試みの場にしようとするものです。

アーティストについて

小川待子1946年(昭和21年) 0歳 ・札幌市に生まれる。父は内科医で日曜画家であった。姉に京子(ピアニスト)、叔母に小川マリ(洋画家、夫は洋画家・三雲祥之助)がいる。1951年(昭和26年) 5歳 ・青森市に転居。1956年(昭和31年) 10歳・世田谷区に転居。1969年(昭和44年) 23歳・東京芸術大学工芸科を卒業(卒業制作は轆轤成形による黒マット釉と赤絵の半球形の鉢と球形の壷)。・4月、文化人類学者・川田順造と結婚。・チュニジア、アルジェリア、モロッコ、スペインを経てパリに行く。1969-71年(昭和44~46年) 23歳-25歳・パリ工芸学校の研修生となる。・鉱物学博物館で鉱物標本に出会い、感動する。1972年(昭和47年) 26歳・オートボルタ(現・ブルキナ・ファソ)で川田順造のモシ族の太鼓ことばによる歴史伝承についての調査助手として活動。モシ族の町、テンゴドコに住む。1973-75年(昭和48~50年) 27歳-29歳・オートボルタ(現・ブルキナ・ファソ)で川田順造の西アフリカ一帯の工芸の伝統的技術調査の助手として活動。この間、土器つくりの村を17箇所ほど訪ねる。当地で、半球状の生の粘土の型を使った「叩き」の技術に魅せられる。1975年(昭和50年) 29歳・日本に帰国。1977年(昭和52年) 31歳・「暮らしを創る―’77クラフト展」(銀座・松屋)1982年(昭和57年) 36歳・『バオバブ<認識絵本シリーズ1>』<絵・小川待子 文・川田順造>(リブロポート.)刊。1985年(昭和60年) 39歳・初個展「第1回小川待子陶芸展」(東京・三春堂ギャラリー)に叩きによる作品を出品。1986年(昭和61年) 40歳・「茶の湯五百年の造形」展(日本橋・髙島屋)・「工芸――世紀末の旗手たち」展(東京・サントリー美術館)1988年(昭和63年) 42歳・「惑星直列」展(東京・ギャラリー小柳1989年(平成1年) 43歳 真鶴に移住。現在にいたる。「現代工芸の一断面 地水火風 コスミック・イメージの饗宴」展(東京・麻布美術工芸館)1990年(平成2年) 44歳・個展「小川待子」(東京・ギャラリー上田)・「美の世界――小川待子」(日本テレビ)放映。1991年(平成3年)45歳・個展「小川待子展」(東京・草月美術館)に「91-S-I〔S-1991〕」(作品No.12)「91-S-II〔Untitled〕」(作品No.13)他約30点出品。1992年(平成4年) 46歳・タカシマヤ文化基金新鋭作家奨励賞を受賞。・「日本の陶芸《今》100選」展(日本橋・三越)・”La céramique au Japon”(パリ・三越)1993年(平成5年) 47歳・個展(東京・ギャラリー上田)1994年(平成6年) 48歳・「国際現代陶芸展 今日のうつわと造形」展(愛知県陶磁資料館)1995年(平成7年) 49歳・「‘95 陶芸の現在――発信する<うつわ>」展(日本橋・髙島屋他)1996年(平成8年) 50歳・「現代陶芸の若き旗手たち」展(愛知県陶磁資料館)・「磁器の表現――1990年代の展開」展(東京国立近代美術館工芸館)・個展「小川待子 二重のうつわ」(東京・ギャラリー上田)・「サントリー美術館大賞特別展’96 挑むかたち」展(東京・サントリー美術館)1997年(平成9年) 51歳・「二つの方法 小川待子・李禹煥」展(東京・鎌倉画廊)に出品。・「The9th Triennale India 1997 JAPAN」(ニューデリー・Lalit Kala Academy)に出品。1998年(平成10年) 52歳・「Nature as Object-Craft and Design from Japan, Finland and Australia, the Third Australian International Craft Triennial」(the Art Gallery of Western Australia)に出品。・「第36回 朝日陶芸展」で審査(2008年まで)。1999年(平成11年) 53歳・個展「小川待子」(瀬戸市文化センター美術展示ホール)に35点(‘86-‘97)出品。2000年(平成12年) 54歳・個展「小川待子」(東京・ギャラリー小柳)2001年(平成13年) 55歳・「現代陶芸の精鋭―21世紀を開くやきものの手法とかたち―」展(茨城県陶芸美術館)・日本陶磁協会賞を受賞。2002年(平成14年) 56歳・「タカシマヤ美術賞」展(日本橋・髙島屋他)・“The New Way of Tea”(ニューヨーク、the Japan Society Gallery + Asia Society and Museum)に出品。・「今日の作家Ⅷ 池田良二・小川待子展 小川待子 Li₂O・NaO・CaO・Al₂O₃・SiO₂ 呼吸する気泡」(神奈川県立近代美術館)に全25点を出品。・「茶の湯の造形」展(ニューヨーク・Japan Society Gallery)に出品。2003年(平成15年) 57歳・「Japanese Ceramics Today,Part 1 Masterworks from the Kikuchi Collection」展(東京・菊池寛実記念 智美術館)2004年(平成16年) 58歳・個展「小川待子展 Na₂O・ZnO・Al₂O₃・SiO₂・B₂O₃」(東京・MDSギャラリー)2005年(平成17年) 59歳・「アルス・ノーヴァ 現代美術と工芸のはざまに」(東京都現代美術館常設展示室)・「アジアの潜在力 海と島が育んだ美術」(愛知県美術館)2006年(平成18年) 60歳・「日本陶芸100年の精華」展(茨城県陶芸美術館)・「じゃんけんぽんの考え方―勝ち負けのない共存」展(韓国・利川世界陶磁センター、岐阜県現代陶芸美術館、台湾・臺北縣立鶯歌陶磁博物館)・“CONTEMPORARY CLAY JAPANESE CERAMICS FOR THE NEW CENTURY”(ニューヨーク・Japan Society Gallery)2007年(平成19年) 61歳・「土から生まれるもの コレクションがむすぶ生命と大地」展(東京オペラシティ アートギャラリー)に「Li₂O・NaO・CaO・Al₂O₃・SiO₂:水の破片」他出品。2008年(平成20年) 62歳・3月、第58回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。・個展(東京・阿曾美術)2009年(平成21年) 63歳・個展“OGAWA MACHIKO FIRE AND ICE”(ニューヨーク・JOAN B MIRVISS LTD)に出品。・“Dissolving views”(韓国・Cheongju International Craft Biennnale2009・Main Exhibition Part 2 Pavillion)に出品。・“Eastern Departures” (ニューヨーク・JOAN B MIRVISS LTD)に出品。・「ARCHAIC FANTASY 土×炎=? つちとほのおで何だろな」展(北海道立近代美術館、)に出品。2010年(平成22年) 64歳・「第3回智美術館大賞 現代の茶―造形の自由」展(東京・菊池寛実記念 智美術館)に「灰青釉碗」(作品No.36)を出品し、優秀賞を受賞。・「茶事をめぐって:現代工芸への視点」(東京国立近代美術館工芸館)2011年(平成23年) 65歳・「小川待子―生まれたての<うつわ>」展(愛知・豊田市美術館)に「2011-TO1」(8点、作品No.37~44)「2011-TO-2~15」(作品No.45~58)他57点を出品。

スピーカーについて

天野一夫学習院大学大学院博士前期課程修了。'87~'00年O美術館学芸員として活動。その後、京都造形芸術大学助教授('00~'04)、教授('04~'08)を経て、'08より、豊田市美術館チーフキュレーターとして勤務。O美術館での主な企画展として、「書と絵画との熱き時代」展('92)「ART IN JAPANESQUE」('93)「メタモルフォーゼ・タイガー」展('99)等、また豊田市美術館での主な企画展として、「近代の東アジアイメージ – 日本近代美術はどうアジアを描いてきたか」展('09年)[同展で、美連協大賞《奨励賞》('09年)、倫雅美術奨励賞美術史研究部門 ('10年) 受賞 ] 、「小川待子―生まれたての<うつわ>」展('11年)等がある。さらに、他の企画に「プログラム・シード」展(京都芸術センター'02)『「森」としての絵画―「絵」のなかで考える』展(岡崎市美術博物館 '07)「六本木クロッシング2007」(森美術館)がある。また、公募展「多摩秀作美術展」(青梅市立美術館 '94~'01)、「アート公募」('98~'02)等では審査員を「VOCA展」(上野の森美術館 '05)では選考委員を務める。著書に『日本画の誕生』(共著)、『「日本画」-内と外のあいだで』(同)、『美術史の余白に――工芸・アルス・現代美術』(同)等。近代以前からテクノロジーアートまで、横断的に美術を問い返すスタンスを続ける。

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