ポケモンGO のアートな「ポケストップ」。街中にはパブリックアートがいっぱい。 in 大阪・梅田

ポケモンGO のアートな「ポケストップ」。街中にはパブリックアートがいっぱい。 in 大阪・梅田

みなさん、ポケモンGOやっていますか? 世界中で話題沸騰中のポケモンGOが2016年7月22日ついに日本でもリリースになりました。先行したアメリカでは7月6日にリリースして、社会現象にまでなっているので、ポケモンGOを聞いたことない方は少ないと思います。

ポケモンGOはGPS機能を活用した、スマートフォンのゲームアプリです。アプリを起動しながら外に出て歩いているとポケットモンスターが現れるので、モンスターボールを投げて捕まえます。捕まえたポケモンは集めたり、育てたり、ジムと言われるポイントでバトルをしたり出来ます。

 

ポケモンGO_バトル

(左)ヨドバシカメラ店内にポケモン「アーボ」が出現。モンスターボールを投げて捕まえます。 (右)ポケモン「ドードー」。AR(拡張現実)モードをオフにすると、モンスターボールを当てやすい。

 

  また、マップ上に現れる「ポケストップ」と呼ばれるポイントでは、中央円形の写真を回転させることで、モンスターボールや道具が手に入ります。

 

ポケモンGO_ポケストップ

(左)マップ上にポケストップやジムが配置されていて、近づくと形が変わりアクセス出来る。 (右)ポケストップ 中央円形の写真を回転させることで、モンスターボールなどが飛び出してくる。

 

  筆者も、何故これほどまでに世界中でブームになっているのかを体験して検証してみようと早速始めてみました。 ゲームの感想としては、ポケモンGOには、昆虫採集や宝探しに似た要素があり楽しいですし、また見慣れた街がそのまま冒険の舞台になるので、没入感もあります。ポケモンGOをやりながら街を歩いていると、スマートフォンを持って歩いている全員がポケモンGOをやっている様な気もしてきます。 ポケモンGOの楽しみ方については、公式サイトの方でご確認下さい。 『Pokémon GO』公式サイト http://www.pokemongo.jp/

 

「ポケストップ」のパブリックアートに注目せよ!

 

「ポケストップ」は飲食店、名所旧跡、ランドマークなど様々な場所に設定されていて、これまで気づかなかったお店や史跡などを発見出来る楽しみもあります。筆者も宝探しのように「ポケストップ」を探し歩き、いくつか訪ねていると、ふと気づいたことがあります。それは、「ポケストップ」は「パブリックアート」に設定されていることが多いということです。

ケネス・スネルソン「テンセグリティDRAGON」ポケモンGOポケストップ

大阪ダイビルにあるケネス・スネルソンの『テンセグリティDRAGON』も「ポケストップに設定されている。(MoPAより)

 

「パブリックアート」とは、美術館やギャラリーの中にあるアート作品ではなく、公園やビルの広場、駅などの公共空間に置かれた野外彫刻や絵画などアート作品のことです。 世界中の都市部には多くの作品があり、街を彩っています。

ロバート・インディアナ『LOVE』
ニューヨーク・マンハッタンの6番街55丁目にある、ロバート・インディアナの『LOVE』。 (Wikipediaより)

 

岡本太郎「太陽の塔」
岡本太郎「太陽の塔」。日本で一番有名なパブリックアートだと思います。(MoPAより)

 

 何故、これほど世界中にパブリックアートがあり、私たちが楽しめるのかというと、一つにはフランスやアメリカを始め、ヨーロッパやオーストラリアには、ビルなど建設事業の総事業費の1%程度をアート作品に充てるように定めた、通称「パーセントプログラム」という政策があることも関係しています。「パーセントプログラム」は1930年代に芸術家の雇用対策として始まり、戦後50年代~60年代には都市を美しくするために、また、人々が日常的にアートに触れられる機会を増やそうと制度化されました。 日本でも、1970年代から1980年代にかけて、自治体の文化行政において「文化の1%システム」という名で、「公共事業の総工費の1%前後をアートに使いましょう。」と、神奈川県や兵庫県などで実施されましたが、残念ながら法的根拠のないまま実施されたことや、90年代のバブル崩壊によって現在では立ち消えてしまっています。 こうして、行政の後押しもあり、社会にパブリックアートがあることが当たり前になってきた歴史があります。 ともあれ、パブリックアートにはインパクトのあるものも多いですし、「ポケストップ」にはうってつけだと思います。

 

アートな「ポケストップ」 in 大阪・梅田。

 

さて、それでは、筆者が真夏の暑い中、必至に歩き回り見つけたアートなポケストップを幾つかご紹介したいと思います。各作品の場所などはリンク先のサイトMoPAでご確認下さい。

アントニー・ゴームリー「Mind-Body-Column」ポケモンGOポケストップ
世界的なアーティスト、アントニー・ゴームリーの「Mind-Body Column」。 ちょっとした観光スポットになってもおかしくないくらいの大作です。(MoPAより)

 

片山利弘「life-2000」ポケモンGOポケストップ
片山利弘「life 2000」。 地下にあったので、見つけられていなかったが、今回ポケモンGOのマップのおかげで発見。(MoPAより)

 

松永真「壁抜け猫」ポケモンGOポケストップ
松永真「壁抜け猫」。 名前のとおりの猫が壁を貫通しているようで面白いです。西梅田界隈には松永真さんの作品が多数あります。(MoPAより)

 

新宮晋「太陽の肖像」ポケモンGOポケストップ
新宮晋「太陽の肖像」。 風で動く新宮晋さんの作品はパブリックアートにうってつけです。(MoPAより)

 

「グランフロント大阪」ポケモンGOポケストップ
ビルの中にある作品もあります。 こちらグランフロント大阪、北館の吹き抜けの広場にある作品なのですが、作者やタイトルが分かる方はご一報下さい。(MoPAより)

 

森口宏一「交響-空へ-」ポケモンGOポケストップ
森口宏一「交響-空へ-」。 ちゃやまちアプローズタワーの正面にあります。ポケストップ上のタイトルは結構適当に付けられています。(MoPAより)

 

河合隆三「無題」ポケモンGOポケストップ

河合隆三「無題」。 時に待ち合わせ場所に、時にベンチに。人との距離の近さもパブリックアートの良いところです。(MoPAより)

 

まだまだありますが、あとはみなさんご自分で見つけてみて下さい。

 

儚く消え行くパブリックアート。

 

  ポケストップやジムは、ポケモンGOを開発したナイアンティック社(Niantic, Inc.)が同じく開発・運営を行っている位置情報ゲーム『Ingress』の「ポータル」と呼ばれるポイントを利用しています。「Ingress」は2013年から運用が開始されていて、すでに世界中に膨大な「ポータル」があります。ですが、登録当時はあったものの、すでに取り壊されて無いモノも沢山あるようです。

Ingress Intel Map

「Ingress Intel Map」世界中にポータルと呼ばれるポイントがあります。

 

今回の調査で、梅田近辺だけでもMoPAに登録があるが「ポケストップ」に設定されている、すでに存在しないパブリックアートが2つ見つかりました。

伊藤隆道「星雲(ネビュラ)」ポケモンGOポケストップ
毎日放送の裏に 伊藤隆道「星雲(ネビュラ)」 があったが、毎日放送ビルの建て替え時になくなった。(MoPAより)

 

「ラマダホテル大阪」ポケモンGOポケストップ
ラマダホテル大阪のエントランスにあった作品 も、2013年、ホテルの閉館と共に行方知れずに。(MoPAより)

 

世界中のパブリックアートをみんなでアーカイブ。MoPA (Museum of Public Art)のススメ。

 

文章内の作品に貼ってあったリンク先のサイトは、ARTLOGUE が運営する、世界中のパブリックアートをみんなでアーカイブするプロジェクト「MoPA (Museum of Public Art)」です。 美術館に収められている作品とは違い、パブリックアートの多くは記録も残されず、メンテナンスもあまりされず、ぞんざいに扱われていることが多いです。

しかし、アーティストにすれば全て大切な作品だろうし、街と市民の財産でもあるパブリックアートを、街の記憶として記録しておくことは価値のあることだと思います。 実は、筆者はMoPA のために梅田界隈のパブリックアートは以前リサーチしましたが、今回、アートなポケストップを探す旅でいくつか新たに発見して、MoPAへ登録しました。

ポケモンと一緒にパブリックアートも探してみると、より一層楽しめるかも知れません。 みなさまも、アートなポケストップを探してみて下さい。 そして、もしよかったら新たに見つけたパブリックアートをMoPAへ登録して下さい!

MoPA_logo_01 MoPA (Museum of Public Art)。世界中のパブリックアートをみんなでアーカイブしよう!

※ポケモンGOのプレイには十分に気をつけて下さい。

 

参考文献:柴田葵『文化の1%システムの日本における展開』、『文化経済学』第 6 巻 3 号(通号 26 号)、文化経済学会(日本)、2009 年

 

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